2020.11.17
幸福感が高まるサクセスフル・エイジングとは?
超高齢化社会を迎えている日本では、このところ“人生100年時代”という言葉をよく見聞きするようになりました。
老後の生き方や日々の過ごし方について、これまでよりも様々な書籍や雑誌で取り上げられる機会が増えています。ご自身のこれからについて“どうなるのかな”と考えたことがある方も少なくないのではないでしょうか。
老後の生き方について改めて考えたとき、「どうありたい」と思われますか? これまで人類が経験したことのない、人生100年時代をどう過ごしていけばいいのか。
そこで、この記事では幸せな老後の生き方のヒントになり得る「サクセスフル・エイジング」についてご紹介していきます。
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サクセスフル・エイジングの定義
サクセスフル・エイジングという言葉に初めて出会い、よくわからないと思われているかもしれません。サクセスフル・エイジングという言葉の概念は、学問分野によって定義づけが異なっていることもあり、明確な定義があるわけではありません。
ですが、サクセスフル・エイジングという言葉を生み出したアメリカでは、“幸福な老い”という意味合いで使われています。 「老い」について考えた時、高齢期には大きく分けて3つの異なるステージが訪れます。
最初のステージとは、会社を退職後、数年ほどの期間。まだまだ社会の中で十分に活躍できるような状態にあります。 次のステージは、やや自立度が下がり、暮らしの中で不便なことが増えてくる段階です。
買い物や移動などを億劫に感じたり、重いものが容易に運べなくなったりするなど、体力の衰えを自覚するようになり、家族や他人に頼る機会が少しずつ増えてきます。 3つ目のステージは、自立した生活が困難で、本格的な医療ケアや介護などを必要とする状態です。
ここで注意したいのは、人生100年時代における幸福を考える時、それぞれのステージにおいて自身が求めるモノやことは変わり、それによって、幸福に対する捉え方も変化するということです。
つまり、サクセスフル・エイジング―幸せな老後の過ごし方―において重要なことは、「それぞれのステージで、運動機能や日常生活の変化など状況に応じたニーズを満たしてゆくこと」であると考えられます。
「サクセスフル・エイジング」を構成する要素
サクセスフル・エイジングの状態をつくるためには、大きく3つの要素が必要です。 それは、長寿、生活の質、社会貢献という観点により構成されています。
以下では、サクセスフル・エイジングを構成する要素として重要な、生活の質(Quality of Life=クオリティ・オブ・ライフ。以下、QOLとする)について解説します。
QOLとは、主に介護や医療の現場でその満足度を評価するために使用される指標です。その評価は客観的評価と主観的評価に分かれます。客観的な評価においては、
①健康状態
②経済状態
③生活環境
④社会的環境
の4つを軸にQOLを評価します。
①健康状態では、その人の体力や自立度、認知力などを評価し、②経済状態では、所得や貯蓄、就業状況などを見ます。③生活環境では、住まいの状況や住居の周辺環境、周囲との人間関係などを、④社会的環境は、地域活動やボランティアを通した社会的参加の有無を観点に、評価します。
一方、QOLの主観的な評価では、評価対象者の主観的判断が軸になります。そこでは、本人自身が充実感・幸福感、生きがいややりがいなどを感じられているかという「感情状態」を主観的にどのように判断するかが重要となります。
子供や孫など、家族との団欒の時間があることや、地域活動を通して仲間がいること、パートナーや友人たちと旅行へ行くことなどは、幸福感や充実感を得られる要素です。
「サクセスフル・エイジング」は主観的幸福感を高めることで得られる
前項では、サクセスフル・エイジングで大切なのは、QOLを高めていくことだとお伝えしました。
QOLの質は、特に主観的な幸福感によって決定されます。つまり、老後にサクセスフル・エイジングを得ていくためには、主観的幸福感を高めることが必要です。
主観的幸福感とは、自分自身の人生で起こることや、日々の暮らしへ抱くさまざまな感情など、人生全般に対する満足を含む大きな概念です。
主観的幸福感に影響を与える要因として、以下、3つのことが明らかとなっています。
・健康を保つこと
自分自身が健康だと感じている人は、主観的幸福感にポジティブな影響を及ぼします。一方で、憂鬱な気分になりがちな人や、無気力な状態にある人は、幸福感が低下することがわかっています。高齢期のステージが進んでいくにつれ、次第に体力が衰え自立することが難しくなってしまいますが、その中でも、少しでも自分でできることは自分で行うようにしたり、身体だけでなく心の健康を保つように努めたりすることで、主観的幸福感は高めることができると考えられています。
・人とふれあい、心理的安全性を保つこと
趣味やサークル活動などに参加する人や、誰かと食事を取る機会がある人、愚痴や心配事を話せる相手がいる人は主観的幸福感が高くなる傾向が確認されています。また、こうした社会参加や、人と交流する機会を増やすことによって、健康状態や経済状況がもたらす主観的幸福感への悪影響を補うことができると考えられています。
・役割を持つこと
家族間や仲間、地域社会の中で自身の役割を得たりするなど、人の役に立つことをすると、主観的幸福感が高まると考えられています。例えば、親の目線で息子や娘へアドバイスを送ったり、気を落としているときは元気づけてあげたり、歳をとっても子を持つ親としての役割を担うこと、そのものが主観的幸福感に影響を与えることがわかっています。
まとめ
アメリカで生まれたサクセスフル・エイジングは、幸せな老後とは何かを考える時にたくさんのヒントを私たちに与えてくれます。サクセスフル・エイジングを得ながら高齢期を過ごすための1つ方法として主観的幸福感を高めていくという視点が欠かせません。
人がより幸福でい続けるためには、自身が健康であることに加え、人や社会とのつながりを保ち続けることが求められます。老後の生活はまだ先・・・と考えている方も、このような点を気に留めてみてはいかがでしょうか。
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