2020.09.17
厚生労働省が定める介護施設の種類を知る
普段の生活の中ではあまり関わることのない介護施設。
一口に介護施設と言っても様々な種類があって、「どれがどんな施設なんだろう」と迷うことがありませんか。
こうした疑問を抱えながら、入居先を検討したり、介護施設を探すことは非常に難しいです。
この記事では、厚生労働省が定める介護施設の種類と特徴について詳しくご紹介します。
入居する介護施設を探す際には、まず介護施設の種類について知識を得ることがとても重要となってきます。
なぜなら、介護施設はその種類に応じて、入居に関わる費用、要介護レベル、サービスにさまざまな違いがあるからです。
これらの違いを知ることが施設探しの第一歩となります。
介護施設は、以下、大きく3つの種類に分けることができます。
有料老人ホーム | 介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホームなど |
高齢者向け施設 | サービス付き高齢者向け住宅など |
公的施設 | 特別養護老人ホーム、老人保健施設など |
「有料老人ホーム」という種類の介護施設には介護付有料老人ホームがあったり、「高齢者向け施設」という種類の介護施設には、サービス付き高齢者向け住宅があったり、「公的施設」という種類の介護施設には、特別養護老人ホームがあったりするわけです。
このように介護施設には様々な種類があります。
納得した施設選びを行うためにも、この記事を通して施設の種類に対する理解を深めていきましょう。
index
有料老人ホーム
・介護付
要介護者向けの有料老人ホームで、各自の介護サービス計画に基づいて介護を受けることができます。
上記に挙げた施設の対象者に該当しない場合で在宅での介護が難しい場合や、上記施設の空きを待っている間のつなぎとして利用する方も少なくありません。訪問介護や通所介護などでは、介護が受けられる時間は限られています。
同居家族がいない場合はもとより、仕事などがあり高齢者が一人になる時間が多くなってしまう場合なども、家族の負担を考え入居を検討するケースも。医師や看護師の配置、機能訓練の有無などは施設によって様々です。
・住宅型
住宅型のタイプは、基本的に自立して生活できる高齢者が、簡単な生活支援サービス(食事や清掃など)を受けながら生活するための施設です。
交流ルームなど、他の入居者と関われる場所が設けられている施設も多く、高齢者を孤独から解放してくれます。介護が必要となった場合は、訪問介護サービスを個別に契約して利用することも可能です。
※住宅型施設での暮らしを知りたい方におすすめの記事
参考:入居者のみなさんにインタビューしてみました!~ドーミー相模原後編~
・健康型
健康型のタイプは、自立した生活が可能な高齢者でかつ軽い運動もできるような方に最適な施設です。
家事や食事に関するサポートはありますが、自立できる方なのでもちろん選択可能です。スポーツジムなどが併設されている施設もあり、好きな時に利用することができます。
ただし、本格的な介護サポートが必要な要介護認定を受けると、退去しなくてはならない施設がほとんどです。
高齢者向け施設
・サービス付き高齢者向け住宅
一般的な賃貸マンションのようなイメージですが、高齢者向けにバリアフリー設備が整っている施設です。
サービス付き高齢者向け住宅を利用される方は、介護認定は関係なく、一人暮らしが不安、サービスを受けながら生活がしたいなど様々な理由で住むことができます。
介護が必要ない方のための施設なので、必要最低限のサービスのみで後は基本的に自立した生活を送ります。サービスは、生活相談から福祉サービス、状況把握など様々です。高齢者の一人暮らしと比較すると、コストはやや高めですが、安心して暮らすことができます。運営は民間が主体です。
・軽費老人ホーム[ケアハウス]
60歳以上の高齢者で、ある程度自立して生活ができる方を対象とした施設で、地方自治体や社会福祉法人が運営する施設です。
上でご紹介したサービス付き高齢者向け住宅よりも低額で入居でき、サポートを受けながら個室で生活することができるため、プライバシーが保たれます。ケアハウスには大きく2種類、「一般型」と「介護型」にわかれます。
「一般型」は、基本的に自立して生活を送ることができるが、一人で暮らすのに不安のある方が、食事や掃除、洗濯などのサービスを受けながら生活するタイプです。一方「介護型」は基本的に要介護の方が対象で、外部の訪問介護やデイサービスなどを利用しながら生活するタイプです。
・グループホーム
グループホームでは、主に認知症の高齢者を対象に運営されます。少人数(グループ)を単位とした共同住宅で、スタッフから介護サービスを受けながら生活することができます。
地域密着型のサービスなので、その地域に住民票がある方が対象です。少人数なので、スタッフの目も行き届きやすく、自宅にいる時と変わらないような雰囲気を大切にしてくれる事業者も少なくありません。
入居の対象者は65歳以上、要介護2または1以上の認知症患者です。施設は、“入浴,排せつ,食事等の介 護その他の日常生活上の世話であって厚生労働 省令で定めるもの,機能訓練及び療養上の世話を行う”と定義(介護保険法第8条第20項)されており、認知症のケアのできるスタッフが配置されています。
また、看護師や医師も、常時配置されているかは施設によりますが、定期的に訪問してもらえます。
・養護老人ホーム
養護老人ホームは、上で紹介した特別養護老人ホームと似た名称ですが、対象となる高齢者のタイプは異なります。
特別養護老人ホームは、原則要介護3〜5の認定を受けられた方が対象となり、食事や入浴など生活に必要な介護を受けながら生活を送ることができる施設でした。
しかし養護老人ホームの場合は、生活環境や経済的な理由で困窮している高齢者が自立した生活を送りながら再び社会参加できるようにするための施設となります。
施設の目的そのものが、高齢者の養護なので、在宅復帰や社会復帰を視野に入れサポートする場所であり長期的な入居はできません。
また、施設の退去後も自立した生活が続けられるよう、支援員が様々なアドバイスを繰り返し行います。さらに、入居するためには介護認定だけではなく生活状況などの審査が市町村によって行われます。
公的施設
・特別養護老人ホーム
一般的に「特養」と呼ばれる施設で、自治体や社会福祉法人が運営していることが多い施設です。
入居対象は、原則要介護3〜5の認定を受けられた方で、介護が必要で在宅での生活が難しい高齢者が入居でき、食事や入浴など生活に必要な介護を受けながら生活を送ることができます。
部屋のタイプは、ユニット型と呼ばれる完全個室タイプと、従来型の多床室施設の2種類があります。医師や看護師など医療スタッフも配置されるため、健康管理の面でもケアが可能です。
・介護老人保健施設
一般的に「老健」と呼ばれる施設で、介護が必要でリハビリ等が必要な高齢者が入居できる施設です。
入居対象は、要介護1〜5の認定を受けられた方です。高齢者の方の中には病院で入院生活を送っていると、筋力などが衰え自力で生活することが困難になる方も見えます。
そのような場合にも、入居中に理学療法士など専門家からリハビリテーションを受けることができます。
病院から自宅へ戻るまでの中間施設のような役割がありますが、自力で生活することができなくなってしまうと、なかなか元に戻すことが難しく、長期化してしまうケースも稀ではありません。
・介護療養型医療施設
介護療養型医療施設とは、介護だけでなく医療ケアも必要な高齢者のための長期療養施設です(※介護療養型医療施設は廃止され「介護医療院」という名称になります。従来の介護療養型医療施設は2023年度末までに移行されます)。
日常的な医学管理、看取りやターミナルケアなどの医療機能と生活施設としての機能を持っている施設なので、医師や看護師などが多く配置されています。
入居対象は、要介護1〜5の認定を受けられた方ですが、介護療養型医療施設は、I型とⅡ型の2つの形態があり、要介護者の状況によって異なります。
I型の場合は、重篤な身体疾患を有する者及び身体合併症を有する認知症高齢者等が対象者です。Ⅱ型の場合は、I型に比べ比較的安定した方が対象です。
まとめ
高齢化社会を迎えている日本では、近年ますます介護施設が増えています。
これまでは、介護が必要になってから施設へ入居するという考えが一般的でしたが、近頃は自立した生活が十分に送れるような方でも自ら積極的に入居を検討される方が増えています。
記事前半で紹介したような自立した生活が送れる高齢者向け施設に関しては、今後はさらに充実したサービスを提供するところが増えていくでしょう。
介護が必要になった方向けの施設でも、より在宅での環境に近い、家庭的な雰囲気を大切にした施設が増えています。介護といっても、一人一人の状況は異なりますし、介護に求めることもそれぞれです。
期限が設けられているわけではない介護は、多くの場合が長期化しやすく、それ故に本人もその家族も辛いと感じるケースが残念ながら少なくありません。だからこそ、関わる人たちがより快適に、気持ちよく介護と向き合えるような施設を見つけることが大切だと言えます。
介護施設には様々な種類がありますが、幸せな老後を暮らすために、納得した施設選びを行うためにも、この記事を通して施設の種類に対する理解を深めていきましょう。
参考:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038005_1.pdf
※初めての介護施設選びにオススメの記事はこちらです!