2020.09.29
【種類ごとに比較】老人ホームの費用と相場は?老人ホーム・介護施設入居に必要なお金
介護の仕組みや必要な費用が明確にならず不安に感じてしまうことはないでしょうか。
介護施設を探す際には、どのようなサービスを受けられるかや、生活する環境の良し悪しに加えて、毎月どのくらいの費用がかかるのかということも気になりますよね。
年金受給額や貯金だけでまかなえず、家族が入居費用を負担するケースは珍しくありません。想定外の費用負担に、大変な思いをしている人たちを見聞きすることもしばしば。
この記事では、介護施設の種類別にかかる費用の相場をご紹介します。
介護を受ける本人はもちろん、家族にとっても、介護が必要な時に備え、費用や相場観についてきちんと「知る」ことは大切です。
結論から述べると、介護施設の費用の相場は施設の種類によって大きく異なります。
例えば、公的施設である特別養護老人ホームは、民間施設が運営する介護付有料老人ホームと比べると安価な傾向が見受けられます。
民間企業が運営する介護施設はホテルのような高級施設から庶民的な施設まで価格帯はさまざまです。
公的施設 | 月額7~15万円程度 |
高齢者向け施設 | 月額10~30万円程度 |
有料老人ホーム | 月額20~30万円程度 |
以下、介護施設の種類と費用の相場を詳しくみていきましょう。
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3つの公的施設の費用相場
・特別養護老人ホーム
特別養護老人ホームは、自治体や社会福祉法人によって運営されることの多い施設で、一般的に「特養」と呼ばれます。要介護認定3~5を受けられた方が対象となり、在宅での介護が難しい高齢者の方が入居しています。部屋のタイプはユニット型個室やユニット型準個室、従来型個室、多床室とあり、多床室になるにつれ賃料が安くなります。特別養護老人ホームへ入居する際の費用ですが、入居一時金はなく、月額7〜15万円ほどとなっています。
・介護老人保険施設
介護老人保険施設は一般的に「老健」と呼ばれており、介護が必要でリハビリ等が必要な高齢者が入居できる施設です。要介護1〜5の認定を受けられた65歳以上の方が入居の対象となっています。入居中には理学療法士など専門家からリハビリテーションを受けることができ、病院から自宅へ戻るまでの中間施設のような役割があります。入居期間は原則3ヶ月までと決められています。介護老人保険施設へ入居する際、入居一時金はありません。
部屋のタイプは特別養護老人ホームと同様で、ユニット型個室やユニット型準個室、従来型個室、多床室とあり、多床室になるにつれ賃料が安くなります。目安としては月額7〜14万円ほどです。費用は、賃料のタイプによって異なるほか、要介護度によっても異なります。
・介護療養型医療施設
介護療養型医療施設とは、介護だけでなく医療ケアも必要な高齢者のための長期療養施設です(※介護療養型医療施設は廃止され「介護医療院」という名称になります。従来の介護療養型医療施設は2023年度末までに移行されます)。
日常的な医学管理、看取りやターミナルケアなどの医療機能と生活施設としての機能を持っている施設で、医師や看護師などが多く配置されています。入居対象は、要介護1〜5の認定を受けられた方で、寝たきりの方など比較的要介護度が高い方が入居されています。
部屋のタイプは、家庭的な雰囲気の居室になっているユニット型個室や病院の1人部屋のような個室、多床室などがあります。入居一時金はなく、月額6〜17万円ほどで利用することができます。費用は賃料のタイプによって異なるほか、要介護度によっても異なります。
介護保険施設への入居する場合は、入居一時金は不要で平均ひと月あたり6〜17万円ほどかかります(食費含む)。ただしこの金額には、個別に必要となった看護ケアに関する費用、歯ブラシや石鹸等雑費や娯楽費は含まれません。介護保険施設の場合、おむつ代は月額利用料の中に含まれていることがほとんどですが、確認が必要です。
参考:介護施設の種類と特徴とは?公的施設から有料老人ホームまでご紹介
高齢者向け施設の種類と相場感
上で紹介した3つの公的施設は、比較的安価なため、どの施設も常に入居待ち状態で希望してもすぐに入居できるとは限りません。公的施設への入居が難しく、けれども在宅での介護は困難となった場合は、民間が運営する高齢者向け施設を利用するという選択もあります。
・サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向けにバリアッフリー設備が整っている集合住宅で、一般的な賃貸マンションのようなイメージです。サービス付き高齢者向け住宅への入居には介護認定は関係なく、1人暮らしが不安であるとか、生活のサポートを受けながら暮らしたいと考えている高齢者の方が入居できます。
サービス付き高齢者向け住宅は民間が運営する高齢者向け施設のため、入居時には一時金が必要で、数万円〜数十万円と施設によって大きく異なります。月額の賃料は、10〜30万円ですが、基本的には基本的な生活は自分でできる方がほとんどで、オプション的にサービスを加えた場合に賃料に加算されます。
仮に介護が必要となった場合、サービス付き高齢者向け住宅では対応できず他の施設を探すことになるかもしれませんので、長期化する可能性のある方は確認が必要です。
・軽費老人ホーム[ケアハウス]
軽費老人ホーム[ケアハウス]は、地方自治体や社会福祉法人が運営する施設です。60歳以上の高齢者で、ある程度自立して生活ができる方を対象となります。
サービス付き高齢者向け住宅よりも低額で入居でき、サポートを受けながら個室で生活することができるため、プライバシー確保の面でも安心です。ケアハウスは、「一般型」と「介護型」にわかれており、「一般型」は基本的に自立した生活を送れるけれど一人で暮らすのに不安のある方が、サービスを受けながら生活するタイプ。
一方「介護型」は基本的に要介護の方が対象で、外部の訪問介護やデイサービスなどを利用しながら生活するタイプです。入居費用についてですが、「一般型」の場合は、初期費用として「保証金」を支払うことが多く、数十万円ほどが必要です。
一方「介護型」の場合は、初期費用として「入居一時金」を支払うこととなり、そちらは数十万円〜数百万円と施設によって大きく異なります。月額で支払う費用は、どちらも15〜30万円ほどです。介護型の場合、施設外のサービスを利用すると入居費用に加えて利用料がかかります。
・グループホーム
グループホームは、主に認知症の高齢者を対象に少人数(グループ)を単位とした共同住宅のことを指し、入居者は介護サービスを受けながら生活することができます。地域密着型のサービスなので、その地域に住民票がある方が対象です。
入居の対象者は65歳以上、要介護2または1以上の認知症患者です。認知症の高齢者の在宅介護は、家族が大変苦労するケースも少なくありませんが、施設には認知症のケアのできるスタッフが配置されるので、本人や家族も安心して過ごしてもらうことができます。民間が運営することがほとんどで、入居費用は、一時金が数十万円〜数百万円、月額の費用は15〜30万円ほどです。
・養護老人ホーム
養護老人ホームは、生活環境や経済的な理由で困窮している高齢者が自立した生活を送りながら再び社会参加できるようにするための施設です。在宅復帰や社会復帰を目指す場所なので、原則として長期的な入居はできません。
さらに、入居するためには介護認定だけではなく生活状況などの審査が市町村によって行われます。入居費用は、前年度の収入によって審査されますが、高くても15万円程度で、入居一時金などは不要です。生活保護を受けている高齢者の場合は、減額や免除などの措置が認められることがあります。
有料老人ホーム・介護施設の種類と相場感
・介護付き
要介護者向けの有料老人ホームで、各自の介護サービス計画に基づいて介護を受けることができます。上記に挙げた施設の対象者に該当しない場合で在宅での介護が難しい場合や、上記施設の空きを待っている間のつなぎとして利用する方も少なくありません。医師や看護師の配置、機能訓練の有無などは施設によって様々です。
・住宅型
住宅型のタイプは、基本的に自立して生活できる高齢者が、簡単な生活支援サービス(食事や清掃など)を受けながら生活するための施設です。介護が必要となった場合は、訪問介護サービスを個別に契約して利用することも可能です。
※住宅型施設での暮らしを知りたい方におすすめの記事
参考:入居者のみなさんにインタビューしてみました!~ドーミー相模原後編~
・健康型
健康型のタイプは、自立した生活が可能な高齢者でかつ軽い運動もできるような方に最適な施設です。スポーツジムなどが併設されている施設もあり、好きな時に利用することができます。ただし、本格的な介護サポートが必要な要介護認定を受けると、退去しなくてはならない施設がほとんどです。
これら3種類の有料老人ホームは、いずれも民間が運営主体で、施設によってはきめ細やかなサービスを提供してくれるところもあります。しかしその分、入居一時金や月額の賃料は高めで、中には数百万円〜数千万円のところも。ごく一般的なサービスの内容を提供する優良老人ホームであれば、入居一時金は0〜数十万円、ひと月あたり20〜25万円ほどになるでしょう。
※有料老人ホームの種類と特徴について知りたい方におすすめの記事
まとめ
在宅介護に比べ、介護施設を利用することは家族の負担を軽減させてくれます。必要な費用は施設によって様々ですが、公的施設では費用を比較的安価に抑えられる一方で、施設内の住環境は有料老人ホームには劣ることがあります。
住宅型有料老人ホームに関しては、介護サービスに関する費用を別途支払う必要があるため、その点も含めて費用感を検討することが重要です。
今回ご紹介した介護施設の種類について、それぞれの施設に関する詳しい解説は「厚生労働省が定める介護施設の種類を知る」の記事をご覧ください。
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