2021.01.27
【これを見ればわかる!】介護施設向けレクリエーション実施のコツとは?
介護施設では、レクリエーションが欠かせないものになっています。
しかし、具体的にはどんな内容が良いのか、そしてどのように実施するのが良いなのかという悩みを抱える施設は少なくありません。
重要なのは、レクリエーションの本来の目的をしっかり押さえることです。
レクリエーションで本当の効果を生むための方法についてご紹介します。
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レクリエーションの構成を考える
レクリエーションの構成を考えるにあたって重要なのは、安全性はもちろんのこと、目的を明確にすることです。
「体を動かす」「頭を使う」といった漠然とした目的では、何をどうしていいのかわからない、となってしまいます。
1. 準備
まず、具体的な目的を設定しましょう。
大前提にあるのは「介護予防」「重度化予防」で、それを楽しみながら行うというのがレクリエーションの意義だということです。
例えば体を動かす種類のものであれば、注目したいのは「それぞれの機能が衰えるとどうなるのか」を意識することです。
スポーツ庁は身体機能の衰えがもたらすリスクについて紹介しています*1。
一部を挙げるとこのようなものです。
可動域 | 関節と周辺に痛みが出やすくなる、変形性の関節症になる、 など。 |
柔軟性 | ケガをしやすくなる、肩こり・腰痛や膝関節症の原因になる、など。 |
バランス | よい姿勢を維持できなくなり内臓に負担がかかる。 |
持久力 | 心肺機能の低下で病気になりやすくなる。 |
認知機能 | 意欲向上や高揚感に乏しくなる。 |
これらを意識し、目的を絞り込んだプログラムを考えていきましょう。
2. アイスブレイク
実践では、まずアイスブレイクの時間を上手に使いたいところです。
特に運動を伴うレクリエーションの場合、緊張していると、本番に入っていきなり体を動かしてしまうと怪我に繋がることもあります。
参加者どうしでの自己紹介や握手、じゃんけん、くじ引きなどを導入するのもひとつの手段です。
打ち解けた空気を作ることができますし、「これからどんなゲームが始まるんだろう」とワクワクもします。
ちょっとしたスキンシップも、リラックスに効果的です。
3. 本番
まずルール説明は一気にするのではなく、途中で区切ってその段階までの予行練習をしてもらいましょう。
一人一人に目を配り、ルールをいまいち飲み込めない人がいるまま次に進むことは避けましょう。
楽しんでもらうことが何より重要ですが、事前に決めた具体的な目的を確認しながら進めましょう。
4. 終了後の注意事項
体を動かした場合は、ストレッチなど整理体操でクールダウンします。
また、感想や次回の目標などをたずね、向上心を引き出す締め括りをしましょう。
スタッフ間での反省会も重要です。そのための観察記録を取るとベストです。
より良いレクリエーションを行うための工夫
そして、レクリエーションをより楽しく、効果的にするためには以下の点を意識しましょう。
●時間配分を工夫する
飽きたり疲れすぎたりするのは良くありません。
意識したいのは「腹八分」で止めることです。
繰り返し参加してもらえるよう、
「次はもっと高い点を取るぞ」
「次はもっとクイズに答えられるようにしよう」
と向上心を持ってもらう工夫が必須です。
●レクリエーションの目的をしっかり伝える
楽しむことが最優先ですが、
「なるべく腕を伸ばしてみましょう」
「少しお腹に力を入れるようにしましょう」
といった具体的な目的も説明し、意識を持ってもらうことでレクリエーションの効果は向上します。
●大きな声でゆっくりと喋る
ひとつひとつ納得して進めないと、不安を感じさせてしまいます。大きな声でゆっくりと話すことは重要です。
●場が盛り上がる声かけをする
集中を継続してもらうためにも、適時の声かけは必要です。
「もう少しですよ!」
「息があってきましたね!」
など、ポジティブでかつ事故につながらないように気をつけましょう。
また、ゲームが単調になってきたら、ルールをアレンジして盛り上がりを維持しましょう。
例えば右手で行っていた動作を左手に変える、といった工夫です。
レクリエーション実施のポイント
以下のポイントにも注意しましょう。
●安全に配慮する
車いすはきちんとロックする、体の傾きがある人の場合はタオルなどで支えるといった配慮が必要です。
また、利用する道具についても、柔らかい素材のものを選ぶ、握りやすいものを使う、などの点に注意が必要です。
姿勢が悪くならないようにすることも大切です。
日本レクリエーション協会がおすすめの道具を紹介していますので、参考にするのも良いでしょう*2。
●言葉使いに注意する
「ため口」など、子供に話しかけるような口調はNGです。
他の生活支援と同様、介護サービスの一環であることを忘れてはいけません。
●無理強いはしない
無理やり参加させることもNGです。
気乗りしないことに誘われ続けると、他の場面でも職員に声をかけられること自体が嫌になってしまう可能性があります。
また、事前に
「疲れた場合はこうしてくださいね」
といったことを伝えておくのも良いでしょう。
まとめ〜「ただ参加するだけ」にならないように~
介護施設でのレクリエーションは、うまく運べば参加者同士の交流、認知症予防、身体機能の維持向上に大きな力を発揮します。
しかし、単なる「時間つぶし」のような感覚では、心身を刺激するものにはなりません。
「考えて動く」ことで初めて脳の活性化にもつながるのです。
そのためにも、具体的な目標設定、成果の振り返りが重要です。
(参照)
*1「スポーツ医・科学等を活用した健康増進プロジェクト報告書」スポーツ庁
*2「おすすめレク用品」日本レクリエーション協会
今回の記事では、レクリエーション実施のポイントをご紹介しました。
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