2021.04.20
老人ホームのお部屋の中はどうなっている?お部屋のレイアウトや特徴を解説!
自分、あるいは自分の親が近いうちに老人ホームへの入居を検討しているけれど、入居後どのような生活になるのか、具体的なイメージはなかなか湧きにくいことと思います。
そこで、まず、どんなお部屋のタイプがあり、どんな設備があるのか、何を持ち込めるのか、など、老人ホームのお部屋事情についてここで紹介します。
ぜひ参考にしてください。
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1.老人ホームの部屋のレイアウト
老人ホームのお部屋の間取りや種類はじつに様々です。
ワンルームにキッチンやバス・トイレを備えたコンパクトなお部屋から、夫婦で入居できるマンション型の広いお部屋まで、幅広い施設やグレードのものがあります。
お部屋のインテリア
インテリアやお部屋の雰囲気も多種多様です。
ビジネスホテルのシングルルームのようなスペースにベッドとデスク、椅子を備えているというシンプルなお部屋もあれば、畳のスペースを設けた和風を意識したものもあります。
また、自宅の部屋のようにローテーブルを置いてある部屋もあれば、高級ホテル、あるいは旅館さながらといったデザインのお部屋もあります。
それまで生活していた自宅の雰囲気に近いものを選ぶことで違和感を軽減できることもありますので、資料や見学で事前に確認すると良いでしょう。
お部屋の特徴
また、多くの施設で、高齢者の生活への配慮がなされています。
特に導線です。ベッドから起きてキッチンやトイレ、部屋の出口まで移動しやすいように配慮されている部屋が多くなっています。
ベッドから部屋を出るまでにいくつも家具がある場合、体力がなくなってくると部屋から出るのがおっくうになったり、万が一、避難が必要な事態が発生した場合、逃げづらくなったりするというリスクもありますので、導線は意識してお部屋選びをしたいところです。
また、長い時間を過ごす場所ですので、自然光を取り入れやすくなっているかどうかもひとつのポイントになるでしょう。
同時に、夜は落ち着くような電球色となる照明器具を取り入れているお部屋もあれば、ものにぶつかりにくいように明るい照明を取り入れているお部屋もあります。
他には、きちんと換気できる部屋であるか、温度や湿度管理をできる空調であるかもチェックしておきましょう。
2.お部屋の広さや設備
次に、基本的な設備についてみていきましょう。
施設の種類や、必要な介護の度合いによって異なることもあります。
設備は施設によってさまざま
施設を大きく2つに分類した場合、「住宅型」と「介護付き有料老人ホーム」に分かれます。
住宅型の場合は、介護を必要としない段階で安心した生活のために入居するのが目的です。
分譲型のシニアマションの場合は、通常の住宅と同じような環境が整備されています。
浴室やキッチン、洗面台やトイレ、収納設備もあるのが一般的です。
また、サービス付き高齢者向け住居も同様です。
自立した生活を前提としています。施設によってはキッチンや浴室などが共用の場合もありますので、事前に確認しましょう。
介護付き有料老人ホームの場合は、安全性に配慮して個室内には一部の設備のみの設置ということもあります。
プライバシーを守りながら見守るためのナースコールや、生活状況を把握するセンサーなどを設置している施設もあります。
お部屋の広さ
介護付き有料老人ホームの場合はワンルームタイプの部屋が一般的ですが、住宅型の場合は広さも様々です。
例えばサービス付き高齢者向け住居の場合、お部屋の広さごとにみた施設の割合は下のようになっています(図1)。
■専用部分の面積
実数 | 割合(%) | |
13㎡以上18㎡未満 | 293 | 0.1 |
18㎡以上20㎡未満* | 165,847 | 64.2 |
20㎡以上25㎡未満 | 36,724 | 14.2 |
25㎡以上30㎡未満 | 31,721 | 12.3 |
30㎡以上40㎡未満 | 12,962 | 4.9 |
40㎡以上 | 11,044 | 4.3 |
■専用部分の設備
実数 | 割合(%) | |
便所 | 258,317 | 100.0 |
洗面 | 258,095 | 99.9 |
浴室 | 53,529 | 20.7 |
台所 | 93,243 | 36.1 |
収納 | 252,441 | 97.7 |
5点すべて完備 | 51,080 | 19.8 |
図1 サービス付き高齢者向け住宅の専用部分の面積と設備
(出典「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」国土交通省資料)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001381203.pdf p6
*18㎡以上20㎡未満、のお部屋が最も多くなっています。
3.お部屋の選び方とポイント
多種多様な施設の中からどのようにお部屋を選ぶか考えるうえでまず重要なのは、入居時にどのくらいの支援や介護が必要かということです。
特に介護付き有料老人ホームの場合、共用部分と専用部分の位置関係に注意しましょう。
ポイント①お部屋の位置
介護付き有料老人ホームには、このようなパターンがあります(図2)。
図2 介護老人福祉施設の居室類型
(出典「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」厚生労働省資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000663498.pdf p24
特に現在は個室が主流になっていますが、「ユニット型」の場合は共用部分を囲むように複数個室を配置したユニットを複数連ねています。
家族の同居のように、個人の寝室と共用のリビング部分があるという形です。
ユニットごとに職員が配置されるので入居者ひとりひとりに目が届きやすいという特徴があります。
そして、従来型個室はワンルームマンションやアパートのように、各部屋が横並びになっているのが基本形です。
共用部分までの移動距離が部屋によって異なりますので、周囲との距離感や生活の利便性が部屋によって若干異なります。
慎重に部屋選びをしたいところです。
ポイント②日当たりや景色
長い時間を過ごす場所ですから、方角・日当たりなどは事前に確認しておきましょう。
見学に行った時刻帯や時期の環境がずっと続くというわけではありませんので、周辺にどんな施設があるか、騒音が気になる場所はないか、といったことを入念に確認し、どんなことが起きうるか想定しておくことは重要です。
ポイント③身体状況と部屋の形状
老人ホームでは基本的に導線を意識した部屋の構造が多いのですが、設置されているものの他に何か置きたいものがある場合はどこに置くのか、その際に移動が不便にならないかを事前に確認しておきましょう。
また、身体状況にあった部屋選びも重要です。
身体の片側に麻痺がある場合はベッドの設置方向やナースコールの位置についても確認する必要があります。
4.お部屋に持ち込む家具
先ほども一部ご紹介しましたが、高級施設であれば広いお部屋もありますが、一般的な老人ホームの場合、居室は20㎡前後というのが主流です。
持って行ける家具は限られている
部屋の広さを考えれば、そう多く家具を持ち込めるわけではありません。
持ち込みすぎて部屋を狭くしてしまうと、非常時の避難経路を塞いでしまいます。
車いすや歩行器を利用するようになるとさらにスペースを広く取る必要がありますので、据え付けの家具がない場合を除けば、大きな家具を複数持ち込むことは難しいと考えておいた方が無難でしょう。
一方で、自分で持ち込みが必要な施設もあるので入居時に確認が必要です。
衣類を収納するケースの持ち込みが必要な場合は、軽めのチェスト型の収納ケースを選ぶ人が大半。
逆に本格的なタンスを使用するケースは少ないようです。
➡老人ホームへ持っていく服の選び方を知る
居室のスペースと相談しながら検討しましょう。
家具レンタルという方法も
また、入居にあたってサイズの見合うものを購入し直す金銭的負担を大きく感じる場合は、老人ホーム向けの家具レンタルサービスの会社もあります。
選べるデザインの幅も多少広がりますので、検討してみるのもひとつの方法です。
できるだけ自宅と同じように過ごせる環境をお部屋に取り入れよう!
部屋の広さが限られているので、自宅から大きな家具を持ち出すのは一般的には難しいのですが、一方で生活環境の変化は精神的負担を伴うのも事実です。
ストレスが身体に悪影響を及ぼし、気力や体力が衰え「フレイル」状態になり、介護を要することになるという可能性も否定できません。
よって、食器や花瓶などの生活用品や趣味の道具は使い慣れたものを持って行く、というのがひとつの方法でしょう。
場合によっては、慣れたいすを持ち込むことを施設側と相談するのも良いでしょう。
また、ベッドの硬さなどが合わない、といった事情が発生した場合は、施設側に相談しましょう。
5.まとめ
施設の適切な選び方は、個人によって異なります。
事前に見学に行き、入念にチェックするのはもちろんですが、大切な要素として意識しておきたいものがもうひとつあります。
職員の雰囲気です。
職員がいきいきとしている、明るい雰囲気があるというのはチェックポイントです。
逆に疲れ切った表情の職員が多いところは避けましょう。
これまでの生活スタイルや個人の性格も含めて、良いお部屋と出会えるようにしたいものです。
介護施設への入居先を検討する際に考えておきたいことは、このようにたくさんあります。
介護業界10年以上、約1000施設に足を運んだ施設選びのプロに、介護施設の選び方のポイントをインタビューしてみました。
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