2021.07.28
介護業界におけるAIの活用方法。AIによって介護はどう変わる?
近年、至るところで耳にする「AI」という言葉ですが、皆さんは、AIとは具体的に何かご存知ですか?
AIは、介護サービスにも影響しており、身近な存在になりつつあります。
今回は、AIとは何かを解説し、介護サービスでどのようなAIの活用方法があるのかをご紹介します。
index
1.AIとは
AIとは人工知能(Artificial Intelligence)の略で、コンピュータシステムによって、人間の知能を模倣することを目的としてつくられました。
私たち人間は、進化の過程で「脳」を獲得し、計算をしたり、物をつくったり、人々とコミュニケーションをとったりといった、さまざまな知的な作業を行うことができます。
このような私たちの脳が行っている知的な作業をAIは真似て作成されたのです。
具体的には、人間が使用する言葉を理解したり、人間が見ている画像を認識したりすることができます。
皆さんが普段から使用しているiPhoneの「Siri」機能や、Amazonのおすすめ商品のリストアップ機能などもAIによるものです。
AIは、1950年代から広く研究されてきましたが、最近では、「AIが人間よりも頭が良くなりすぎた」ともいわれていますよね。
AIが進歩し、推測や意思決定、知識表現、複雑なタスク処理、コミュニケーションなどの人間の知能特徴を再現できるようになり、AIが第4次産業革命の主要な担い手となることが示唆されています。
また、このような技術開発に合わせて、政府やテクノロジー企業が、ヘルスケアにおけるAIの応用に多額の投資を行っており、AI対応の医療機器の導入や、AIを活用した健康アプリケーションの開発など、AIはヘルスケア分野にも進出しています。
AIを活用することで解決できること
では、実際に介護分野でAIを活用することによって、どのような問題を解決することができるのでしょうか。
生理計測データの解析・病気の早期発見
加齢とともに増えてくる足腰の不調や、病気の可能性など、人間誰しも将来のことを考えると不安になりますよね。
しかし、将来、自分がかかりうる病気が分かったとしたらどうでしょう。
自分が遺伝的にかかりやすい病気や、現在の血圧や血糖値の計測からこのまま生活すると、どのような病気にかかるのか、などを知ることができれば、今病気を予防し、対策することができます。
AIはこのような課題に対して、自動健康診断や、がん、心血管疾患、糖尿病のリスクの予測、病気の早期発見などに加え、膨大な医療データをもとに個人に合った最適治療を提示してくれるのです。
医療・介護現場での支援
医療サービスでは、AIが診断スケジュールや患者さんの健康情報(睡眠パターン、血圧、心拍数、心電計、脳波計、筋電計)を把握することで、患者さんの病院の待ち時間の短縮や、治療の迅速化と低コスト化を図ることができます。
また、電子カルテの文書化や臨床ノートの作成にも効果的であることがわかっており、AIは医師の負担の軽減にも貢献しています。
介護の仕事は淘汰される?
介護分野におけるAIの活躍として、高齢者のロボットアシストなどが挙げられます。
高齢者の多くは地域社会で生活していますが、家族や介護者のサポートをほとんど受けられず、健康上のリスクを抱えている方も多くいらっしゃいます。
そのような高齢者の方に対して、ロボットアシスタントは、歩行困難な方を運んだり、慣れない環境を案内したり、誰かと話したいときに話し相手になってくれるなど、高齢者のサポートをすることができます。
優秀なAIですが、その優秀さから「介護職はなくなってしまうのか、AIに奪われてしまうのか」という不安が沸き上がりますよね。
確かに、介護業務の事務作業や、一部の介護業務はAIロボットに代替されます。
実際に、スウェーデンやデンマークでは、高齢者の移乗作業はロボットによって行われています。
「ロボットに任せることができることは任せる」という方針になり、人間が行う単純作業は圧倒的に少なくなるでしょう。
しかし、ロボットでは得られない、人とのふれあいや、人のあたたかみによる介護を重視する施設は少なからず存在するため、全ての介護業務がロボットに奪われることはないでしょう。
AIとの分業する未来が予想されます。
2.AIの介護シーンでの活用方法
活用事例1 見守りロボット
株式会社テムザック 見守りロボット「SOWAN(ソワン)」
厚生労働省は経済産業省とともに、ロボット技術の介護利用の導入を支援しており、最近注目されているのが「見守りロボット」です。
見守りロボットは、「介護施設型」と「在宅型」に分かれており、どちらも外部通信機能を備えています。
介護施設型
介護施設型で利用する見守りロボットは、介護従事者が複数の要介護者を同時に見守ることが可能であるというメリットがあります。
要介護者がベッドから起き上がろうとしている、移動をしようとしているなど、要介護者の行動を検知することができるため、介護従事者が施設内の別の場所にいても要介護者を観察することができます。
在宅型
一方で、「在宅型」は、転倒検知センサーがついているため、介護従事者へ通報したり、要介護者の生活や体調の変化を情報共有したりすることが可能となります。
活用事例2 みんなの認知症情報学会
一般社団法人みんなの認知症情報学会
AIを活用した委託事業のなかに、「みんなの認知症情報学会」があります。
ここでは、認知症の人の日常生活をサポートする音声対話システムの開発や、認知症の方の症状例に応じてどのように対応すればよいのかを考えるワークショップなどを開催しています。
高齢者の健康状態のデータを、AIを用いて分析し、新たな技術開発につなげています。
活用事例3 ケアプラン作成システム
NDソフトウェア株式会社 AIケアプラン
AIを用いたケアプラン作成システムは、介護老人福祉施設や居宅介護支援事業所などに設置され、介護従事者を支援しています。
例えば、利用者さんの入居スケジュールを把握するために空室や空きベッドが一目で把握できるシステムや、施設ケアマネジメントのシステムの導入により、大量なデータを連動させ、介護従事者の事務作業の軽減に貢献しています。
ほかにも、利用者さんの栄養ケア計画の作成やモニタリングシステムにより、介護従事者をサポートしています。
活用事例4 介護リフォームの設計
株式会社ユニバーサルスペース AIを導入した介護リフォームの見積もりアプリ
バリアフリー化へのAI導入も進んでいます。
高齢者が社会生活を送る上で障壁となるものを取り除くために、手すりの設置や洋式便器への交換など、介護リフォームが行われています。
その際の設計システムにAIが使用され、図面や見積書の作成を簡単に行うことができ、その結果、圧倒的な効率化によって、早くて安く、高齢者の快適生活を創ることが可能となるのです。
3.介護でAIを活用するメリット
ここまで、介護分野におけるAIの影響をご説明しましたが、AIを活用することによるメリットについて挙げます。
介護業界の人手不足を補うことができる
現在、日本における高齢者は増加する一方で、介護サービス事業所における人手不足が懸念されています。
そのため、AIを導入することで、今まで介護従事者が行ってきた事務作業をシステムで効率化することができ、人手不足の解消及び人件費の削減に繋がることが示唆されます。
要介護者の精神的負担を軽減することができる
要介護者による「人の世話になりたくない」「介護従事者への申し訳ない」という気持ちから、介護拒否がみられることもあります。
しかし、AIロボットのなかには、「申し訳ない」「恥ずかしい」といった、介護従事者に対する心理的負担が特に大きくなる排泄や入浴をサポートしてくれるものもあります。
介護従事者の身体的負担を軽減することができる
要介護者の身体を抱えて運んだり、支えたりすることは介護従事者の身体にも負担がかかります。
このような動作をロボットに任せることで介護従事者の身体的軽減につながります。
4.ココシニアが提供するAIサービス
入居施設選びは、ご入居される方やご家族にとって、重要なイベントです。
「どのような施設が私に合っているのだろう」
「この施設に入居して大丈夫かな」
といった不安がありますよね。
そんな不安をサイエンスの面から解決してくれるAIサービスとして、ココシニアが提供するAIアシスタント「ココちゃん」です。
ココちゃんは、実際に高齢者向け住宅施設に入居している/していた方を対象に行ったアンケート結果より、アルゴリズムモデルを作成し、入居者の方に最適な施設を予測することができます。
ココちゃんのアルゴリズムや、詳しいサービスの内容についてはこちらの記事も参考にしてください。
➡AIで“幸せになる可能性の高い”施設が見つかる!? 介護施設マッチングサービス「ココシニア」を体験してみた
5.まとめ
今回、私たちの身近な存在になりつつあるAIについて解説しました。
介護分野におけるAIは、要介護者の状況を把握し、介護従事者間の情報共有ツールとして活躍します。
また、介護従事者や要介護者の身体的精神的負担の軽減につながることから、介護業界におけるAI技術はますます発展することが予想されております。
AIときくと、仕事がなくなることが危惧されますが、「人との触れ合い」という面で、介護業界における人間の仕事が完全に失われることはなく、AIとの分業によって、人々の生活がより豊かになることでしょう。
ココシニアが提供するAIによる介護施設マッチングサービス。
ぜひ一度体験してみてください。