2021.09.06
急性期病院からの転院先にはどこがある?転院先を紹介!リハビリ情報も満載です。
急に退院が決まった。でもこのままじゃ家に帰れない…
自宅へ戻る前に療養できる施設や、1人暮らしが不安な方も利用できる場所は、実はたくさんあります。
急性期病院からの転院先として、どんな施設があるのかや、施設の特徴、転院先として入所するメリットを紹介します。
自分自身のニーズにあった施設選びの参考にしてください。
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1.なぜ転院しなければならないのか
急性期病棟は積極的な治療が必要で、疾患や怪我などを治療するための病棟です。
積極的な治療が必要なくなれば、次に治療が必要な患者さんに対して、その場所を譲らなくてはなりません。
急性期病院からの転院しなければいけない2つの理由を以下、解説します。
急性期から回復期へと治療フェーズが移行するため
1つめが、急性期から回復期へと治療フェーズが移行するという理由です。
疾患により急性期病棟に入院できる日数は変わります。
疾患名のみならず、病状により厳密には異なりますが、入院時には医師が見立てた「想定入院期間」が設けられ、それを基準として急性期病棟での入院期間が決まります。
急性期病棟での積極的な治療が不要になり、治療フェーズが回復期へと移行し、医療的な介入よりもリハビリなどの比重が多くなった場合には、急性期の対象ではなくなります。
急性期病棟の入院に関しては1病名に対して1入院として定められている病院が多いので(病名が変わり、転科する場合にはこの限りではない)、急性期を脱した場合には退院する必要があるのです。
急性期病院は急患に備えてベッド数を確保する必要があるため
急性期病棟は、急な患者さんの入院に備えて、常にある程度のベッド数(空床)をキープしておきます。
入院管理が必要になる患者さんは、急に来院することもあるためです。
空きベッドがあるからといって、予定日より長く入院はできません。
特に、救急当番の前などは、急な入院患者さんが急増するため、普段よりも多めに空床を確保しておくという病院側の実情があります。
2.急性期病院からの転院先はどこがある?リハビリができる施設は?
急性期を脱したからといって、誰しもがスムーズに自宅に戻れるわけではありません。
入院生活で劣った筋力や体力を考えると、日常生活がスムーズにできなくなるケースも多々あります。
積極的な治療が必要なくても、自宅に帰るには少し不安が残る…
多少の医療処置が必要で、自分だけで自宅に帰るには不安がある…
さまざまな施設やリハビリに対応した病棟を経て、自宅に帰る…
様々なケースがあります。
以下では、急性期病院からの転院先としてどんな施設があるのか紹介します。
地域の一般病院
自宅近辺の一般病院に入院し、引き続き治療を受ける場合に転院する移動先です。
地域の一般病院への転院が想定されるケースとしては、大学病院などでしかできない手術や、他の疾患を有しているため、他科併診で治療が必要な場合によくみられます。
病状や疾患に特化した治療ができる大病院などに入院し、その病院でしか受けられない治療を受けた後、継続管理をするために自分や家族の通いやすい地域の一般病院に転院するのです。
病状が落ち着いていなかったり、急性期管理が必要なケースでも、地域への一般病院へ転院しなければなりません。
急性期病院から地域の一般病院への移動は、介護タクシーや、病院管轄の救急車を使用することもあります。
移動の相談は、医師などを含め相談する必要があります。
療養型病院
慢性疾患や障害のために、何かしらの医療的介入と看護を必要とする方が対象の病棟です。
療養が目的なので、リハビリが受けられる時間には制限があります。
療養型病院は「医療区分」によって、入院基準は定められています。
該当する人は施設にはなかなか入れないという実情があります。
参考:厚生労働省 「療養病棟の医療区分」P1
回復期リハビリ病院
急性期を脱し、リハビリが日々の生活の中心となった患者さんが入院する場所です。
さまざまなリハビリメニューを毎日行えるだけではなく、医師、看護師とリハビリの専門家両方が常駐しているのが大きなメリット。
身体機能の回復だけではなく、体調の管理や患者さんにとって必要なケアもしてくれるので、回復期の患者さんにとっては理想的な環境です。
リハビリするのが目的の病院なので「脳疾患、整形外科の骨折による、外科的手術した後」など、疾患名により入院できるかどうかの縛りがあります。
60日、90日、120日、150日など、疾患名で入院できる日数も変わり、毎日のリハビリできる時間も病名により変わってきます。
ADL(日常生活動作)レベルを上げて施設に行くか、自宅に行くかの中継地点として活用されています。
参考:厚生労働省 「回復期リハビリテーションを要する状態と算定日数の上限等」P42
地域包括ケア病棟
病名による入所基準はありませんが、60日で退院しなくてはならないという入院日数の縛りがあります。
急性期を脱したものの、すぐに自宅には帰れない、施設に移るまでに少し時間がかかる場合、施設などを含め行き先がまだ決まっていないけれども、急性期病棟を退院しなくてはならないなどの状況で、どこかに急いで移動しなくてはならない場合に活用されます。
また、退院後の患者さんで医療行為(インスリン・服薬管理など)が必要な方のショートステイ先としての預かりの対応もしています。
介護保険の枠ではなく、医療保険での支払いになるので料金が変わってきます。
利用する人により、施設とどちらが安いかは異なります。
介護施設
一般的には病院ではない場所の施設すべてを「介護施設」としています。
<入所可能な介護施設>
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホーム
- グループホーム(GH)
- 小規模多機能ホーム
- サービス付き高齢者住宅
などの総称が「介護施設」です。
主な役割は、介護士などの有資格者が提供する介護サービスが受けられる施設のことを指します。
それぞれの施設には、役割や介護認定度により受けられる介護サービスが異なります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
➡簡単フローチャートでわかる老人ホームの種類と選び方のポイント7つ
自宅
患者さんが目指す最終的な療養先のひとつは自宅でしょう。
急性期病院退院後、すぐに自宅に戻れなくても、介護施設やリハビリ病棟など、ADL(日常生活動作)を回復させれば、自宅に戻れるケースも多くあります。
また、地域のケアサービスなどを活用し、自宅に戻れるようになる場合も。
急性期からそのまま自宅に退院する場合、最初のうちは家族のサポートが必須なこともあります。
急性期退院後、まっすぐ自宅に戻ることを想定しているならば、自宅で生活する上で必要なサービスや、家族の介入がどれぐらい得られるのかなどをきちんと想定し、戻ることが大切です。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
➡初めての自宅介護!知っておきたい基本の費用やサービスをご紹介
3.介護施設入居で得られる、リハビリ面から見たメリット
介護施設に入居するメリットのひとつにリハビリ専門の資格を有しているプロフェッショナルなケアが受けられます。
さらに、介護スタッフやヘルパーと共に徐々にADLレベルをアップさせる、生活に根ざしたアプローチによるリハビリも享受できます。
専門職から充実したリハビリを受けることができる
施設により、リハビリ専門スタッフの配置があります。
また、施設によりリハビリを兼ねたレクリエーションなども売りにしているところもあるようです。
以下では、介護施設で受けられるリハビリの種類について詳しく解説します。
□ 理学療法士(PT)によるリハビリ
理学療法士は、人体の構造を熟知し、人間の関節や筋肉の動きに基づいたリハビリを計画し、機能の回復を目指します。
体の動きに対してADL(日常生活動作)をアップさせるリハビリを提供します。
<理学療法士によるリハビリの特徴>
- 筋力トレーニング
今残されている筋力を維持するトレーニングや筋力を回復するためのトレーニング。
- 関節可動域訓練
固くなった関節の可動できる範囲を広げる、残されている可動域をこれ以上悪くさせないようにする訓練。
- 歩行訓練
歩くための訓練だけではなく、歩くまでの前段階、座るから立つまでなどを含めた歩行訓練。
- 装具を使った訓練
患者さんによっては靭帯を損傷し、歩くため、手を動かすために装具が必要な場合もある。その装具を装着して歩くための練習、動くための練習をして、体を動かす感覚を取り戻すための訓練。
□ 作業療法士(OT)によるリハビリ
作業療法とは、病気や事故、高齢のために身体や精神の機能が衰えた人が日常生活を送れるように機能の回復、もしくは残された機能を応用し、日常生活が送れるようにできる応用力をつけるためのサポートをします。
具体的には、箸を使うための訓練をする、トイレに行って陰部を拭くための作業をするなど、生活において、もう一つ踏み込んだ訓練をするのが作業療法士でのリハビリです。
<作業療法士によるリハビリの特徴>
- 作業療法
箸などを使った細かい作業の訓練。
- 生活訓練
自宅に戻ったことを想定し、寝ている場所からの起き上がり訓練、掃除機かけ、洗濯物干しなど、生活環境にあわせて実生活をシュミレーションし、サポート。
□ 言語聴覚士(ST)によるリハビリ
主に脳疾患後に見られる言語障害や、失語症、嚥下障害などに対してリハビリを行うのが言語聴覚士によるリハビリです。
食事摂取を安全にするためにも、嚥下機能を評価して、食事形態を判断するのも言語聴覚士が担うこともあります。
<言語聴覚士によるリハビリの特徴>
- 言語訓練
話すのが難しくなる構音障害に対して発音や発声のトレーニング。
- 高次脳機能訓練
「読む・聞く・書く・話す」何かが障害される失語症に対し、注意力や記憶力にアプローチするトレーニング、物の名前を書く訓練。
- 嚥下訓練
嚥下に伴う、唇、首、舌などに関連する体操、飲み込みの練習、嚥下機能によりご飯の形態を選択したりする。
生活リハビリにも取り組める
生活リハビリとは、日常生活のすべてをリハビリとして捉え、介護のプロである介護士やヘルパーなどが付き添い、利用者さんに本当に必要なサポートを提供しつつ、本人の自立を促すリハビリのことです。
家族が介護しているとたまに見られるのが、「自分がした方が早い」、「本人が可哀想だから」などの理由で、本当は本人でもできるのに手を出してしまい、残された機能がどんどん維持できなくなるといった悪循環に陥っているケースもあります。
介護施設であれば、常駐しているのは介護のプロフェッショナル。
本当に必要なサポートをしっかりと見極め、利用者さんの自立を促し、自宅に帰ったときにも困らないように最善のサポートを提供してくれます。
4.介護施設入居で得られるその他のメリット
施設に入居すると、リハビリ面だけではなく、患者さん本人や、家族に対してもさまざまなメリットがあります。
以下に内容を紹介します。
家族ケアの負担を軽減できる
急性期病院からそのまま自宅に戻ると、実は家族の負担が非常に高いのです。
特に、患者さんが寝たきり状態になると、経験のない介護を家族が手探りで始めなくてはいけません。
食事や排泄、入浴だけではなく、身体的な介護や服薬管理、場合によっては再受診や医療的なケアなど、すべてを家族がしなくてはならないので、身体的な負担だけではなく、精神的なストレスも非常に高いのです。
また介護者だけではなく、患者さんも介護に慣れていない人間にケアされるという不安で、精神的なストレスや身体的苦痛を伴うことも。
結果的に双方の人間関係が悪くなり、介護者や患者さんがうつ病になってしまうといったケースも少なくありません。
自宅に戻る前にまずは、施設でどのぐらい生活できるのか、必要なサポートは何なのか、何をすれば自宅で過ごせるのかを見極めるために、施設を活用してみるのも良いでしょう。
手厚い介護体制が整っている
介護施設では、介護士や看護師が常駐しています。
夜間の就寝時も利用者の安全確認を定期的にしてくれます。
万が一のことを想定すると、誰かがきちんと定期的に確認してくれるという体制は、非常に安心感があるはず。
在宅での介護や療養に限界があっても、介護施設であれば24時間365日、介護と見守り体制が整っているので、安心して家族を預けられます。
また、看護師も常駐しているので、体調管理がしっかりとされます。
異変にも早めに気がつけるので、早期対応・早期受診ができます。(施設により、病院受診になるか、往診になるかは異なります)
在宅復帰までの一時入居としても利用できる
介護施設の中でも、有料老人ホームは、利用者に寄り添ったさまざまなプランを用意しています。
1ヶ月だけ、3ヶ月だけなどのミドルステイに対応した短期契約での利用もできます。
ゴールは自宅へ戻ることだけれども、急性期病院からそのままの退院は少し不安がある、施設で日常生活が送れるようリハビリをした後に、自宅に戻ることを想定し、利用する方も非常に増えています。
短期の利用だからこそ、予算が立てやすいというのもメリットです。
有料老人ホームの中には即入居できる施設もある
有料老人ホームも非常に人気の施設です。
介護認定があるとサービスが使えるので、多くの方が入所を希望されています。
有料老人ホームの場合、施設にもよりますが、自立の人から要介護5の人まで入れます。
さらに、施設により、人気のポイントや売りにしているポイントが異なり、そこを基準に施設選びをしている方もいるようです。
<施設のこだわりポイント>
- 食事
施設内でできたてのものを提供している、シーズンにより楽しめるメニューを提供している。
- アクセス
駅近などで利便性が良い、街中に立っている。
- 築浅
施設そのものが新しく非常に綺麗。
- バラエティ
各種娯楽も多く、入所していて楽しめる。
- 地域との繋がり
地域ボランティアとの交流で、日々の気分転換が図れる。
料金が高いイメージもありますが、最近ではリーズナブルで、即入居可能な施設も多く見られます。
有料老人ホームの費用感に関しては、以下の記事が参考になります。
➡すべてがわかる!介護付き有料老人ホームの費用
5.急性期病院から介護施設へ入居する際のポイント
患者さんがどのような状況で、どのようなケアが必要かで、入所できる施設は異なります。
指標の一つとして介護認定を取得し、その介護度によって選別するのもひとつの手でしょう。
以下では、急性期病院から介護施設へ入居するにあたって把握しておきたいポイントをご紹介します。
□ 施設のリハビリ実績は高いか
リハビリの内容を重視しているならば、その施設はどのようなリハビリ実績があるかどうかはしっかりと調査しておきましょう。
常駐しているリハビリを提供する専門職や、提供しているリハビリの内容も異なります。
患者さんがリハビリを受けることを想定し、すべてのジャンルのリハビリを受ける必要があるのか、それとも一部分だけでいいのかによって選択できる施設も異なるでしょう。
まずは、患者さんにとってどの程度のリハビリが必要なのかを見定めることが重要です。
その上で、施設ごとにどのようなリハビリを提供しているのかを確認し、適切なリハビリを受けられる施設を選択しましょう。
□ 医療体制が充実しているか
施設により提供できる医療は明確に異なります。
患者さんが必要な医療ケアは何になるのか、施設からの通院でも十分カバーできるのか、訪問看護でも大丈夫なのかによってどの施設を利用できるかが異なります。
退院が近くなった頃には、どの程度の医療ケアが必要なのかというのも見定められるはずなので、入院中から必要なケアを絞り出し、それを念頭に施設探しをすると良いでしょう。
退院後にも通院が必要であるならば、受診する病院との距離も参考に選んでみると良いでしょう。
□ 看取りまで対応しているか
中には、自宅での介護がこの先もずっと難しいといったような状況もありえるでしょう。
その場合には看取りまで対応してくれるかどうかを視野に入れることも大切です。
利用者の状況により、必ずしも看取りを視野に入れる必要はないと思いますが、体調や状況により看取りを視野に入れなくてはならない場合もあります。
看取りにあたっては、介護看護医師など専門職の高度な連携が必須です。
6.自分達にあった施設探しのコツ
色々な介護施設が世の中にはたくさんあり、何を選んだら良いかと困ることも多いでしょう。
施設探しをする際に簡単に情報収集できるコツをまとめています。
□ まずはネットで情報収集する
最近では高齢者向けの住まいや介護施設も非常にたくさんあります。
自分たちにはどのような施設があっているのか、どのようなサービスやケアが必要なのか、などをきちんと見定めた上で、まずはネットで情報収集をしましょう。
自分たちに合った施設のジャンルから探し始めるのがベスト。色々な施設を見ていると何がどのような施設だったかというのを忘れてしまいます。
入院中でならば、早い段階で病院にいるソーシャルワーカーに相談するのも一つの手段。
その際にも何もわからないで相談に行くよりかは、ネットである程度リサーチをして、知識を得た上で相談すると、より話の内容もわかりやすく、自分たちが何を希望しているのかというのも伝えやすくなります。
□ 経験豊富なアテンダントに電話相談する
即日入居、医療体制の有無、予算、老人ホームの雰囲気はあっているかどうか、などさまざまな情報が必要で、インターネット検索だけではわかりにくく、入居施設を検索するのはとても難しいのです。
ココシニアでは、経験豊富なアテンダントによる電話での入居相談をしています。
入居希望時期、本人の状態、予算や地域、老人ホームに求める特徴などを伝えると、条件に合致した施設を複数提案できます。
インターネットで情報収集してもわからない、文字で情報収集したものの、自分の認識があっているかわからないこともあるでしょう。
中には患者さんの退院が急に決まって、できるだけ迅速に転院先を見つけなければいけない、といった緊急事態の場合もあると思います。
その場合にはゆっくりとインターネット検索している時間もないはず。
その場合にはアテンダントへ電話相談をしてみると、状況が一気に開けることも。
ココシニアのアテンダントについて、以下のページでご紹介をしております。
ぜひご覧ください。