2020.06.28
来たる2025年問題に備えて。日本の医療現場を支援するヘルステックの今
世界最速で超高齢化社会を迎える日本。2025年には、団塊の世代が後期高齢者である75歳以上に突入し、国民の5人に1人が75歳以上になります。
そこで危惧されるのが、必要な介護を受けることができない「介護難民」が増えること。
そんな中、「2025年問題」と呼ばれるこの国家的危機の救世主として注目されているのが「ヘルステック」です。
ここでは、「2025年問題」で日本にどんなことが起こるのか、「ヘルステック」がどうこの危機を救うのかについて、考察していきます。
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ヘルステックとは?
ヘルステックとは、エイジテックと同じ考え方で「ヘルス(Health)」と「テクノロジー(Technology)」を組み合わせた造語です。
「金融(Finance)」とテクノロジーを組み合わせた「フィンテック(FinTech)」というように「〇〇×テック」という言葉を耳にする機会が増えていますが、ヘルステックもそうした新産業のキーワードして登場しました。
来たる2025年問題。ヘルステックは深刻な状況の日本を救うのか
世界でも類を見ない超高齢者社会である日本では、医療に関するさまざまな問題が浮かび上がっています。
例えば、「医療費の高騰」。日本は、誰でも平等に医療サービスを受けることができる国民皆保険制度を取っています。
しかし、高齢になれば病気にかかる率も高くなり医療費は増加の一途の辿っています。
特に1940年代後半に生まれた団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となることから「医療費の2025年問題」が持ち上がっています。
さらに、医療現場では医師が大都市部に集中し、地方で医師が不足するという偏在も出ており、加えて医療従事者の過酷な労働環境も問題視されています。
政府は、医療の質を担保しながら医療費を削減する医療制度の改革を進めていますが、有効な解決策を見いだせていないのも実情と言えそうです。
そうした現状を受け、医療分野におけるさまざまな課題の解決策として近年注目されているのが「ヘルステック」と呼ばれる新しい領域。
エイジテックに近い考え方ですが、より医療分野に特化したのがこのコンセプトです。
エイジテックの詳細は以下のページをご参考にしてください。
➡テクノロジーの力で高齢者と医療・介護の現場を救う。 アメリカで注目を集めるAgetech(エイジテック)とは
ヘルステックを用いた事例
ヘルステックには明確な定義はありませんが、最新のICT技術を活用した新しい医療サービス、あるいはそれを創造すること。
具体的には 、クラウドコンピューティング(クラウド)、スマートフォンやタブレットなどのモバイル、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ウェアラブルデバイスなどの技術を活用し、これまでは存在しなかった革新的なサービスを開発することです。
ここでは、ヘルステックを用いたサービスの具体例をご紹介します。
【ヘルステックの具体例】
- 1薬局:安全な服薬を可能にする「電子版お薬手帳」服薬に関する情報をクラウド上で保管してスマートフォンなどから閲覧可能
- 2医療:在宅でも医師の診療が受けられる「遠隔診療サービス」。スマートフォンやタブレットから利用できる「遠隔診療サービス」です。オンラインのビデオチャットなどを通じて、医師から診療を受けられる
- 3医療:ウェアラブルデバイスの活用。病を抱える患者が自分の体の状態を見える化し、治療に役立てることができる
- 4医療:AI(人工知能)による診断支援や病気進行の予測。AI技術を使うことでスマートフォンのアプリでユーザーに服薬や行動改善を働きかけたりすることが可能に
- 5介護:利用者に寄り添う「介護支援ロボット」 。超高齢社会にある日本では、介護職員の人材不足や在宅での老老介護など介護に関する問題も多い。近年、それらの解決方法として注目を集めているのが「介護支援ロボット」
ヘルステックに期待されるものとは
日本に目を移すとヘルステックの領域も、異業種の企業やスタートアップ企業などがこの市場に新規参入を図り、さまざまなサービスの開発、提供を進めています。
また、これまでの医療ICTでは医療や治療の質向上に主眼が置かれていましたが、その手前にある「予防医療」にも、ここまで紹介してきたヘルステック関連サービスが活用されています。
予防医療とは、病気になることを防いだり、病気を早期発見、治療することで゙病気による障害や死亡の減少をめざす医療のこと。
病気の治療だけではなく、病気の重症化や再発など、病状悪化の予防などが含まれます。
例えばウェアラブルデバイスによって自分の体調を日々管理したり、遠隔診療や健康相談サービスを通じて気軽に医師に相談できれば病気が重症化する前に対処することが可能になります。
予防医療が進展すれば、多くの人々がより健康的に暮らすことができ、結果的に医療費抑制にも繋がるでしょう。
また、ヘルステックは介護に関する問題の解決にも役立てられます。
親の介護のために離職する「介護離職」の問題が取りざたされていますが、ヘルステックや介護ロボの活用により、人の負担が減ることで離職を防ぐことも可能になるでしょう。
こうしたテクノロジーの活用は、身近な暮らしにも取り入れることができます。
例えば、スマホアプリです。
日々の健康管理や、脳トレを行えるアプリが次々と開発されています。
➡高齢者・シニア向け「ゲーム」アプリオススメ5選!スマホで脳トレを
➡高齢者・シニアにオススメの健康管理アプリ5選をご紹介!日々の生活管理に
高齢者化社会が加速する中で、テクノロジーを活用したサービスが、高齢者ご自身そして、それを支えるご家族や介護施設、医療関係者の負担を減らし、幸せな暮らしの一助になっていくことでしょう。
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