2021.02.12
介護ストレスや疲れで病気に?ストレスの原因・症状と3つの解消法
突然、準備も覚悟もないままに始まる介護。
終わりが見えず、疲れやストレスが溜まっている方も多いのではないでしょうか。
ストレスとの上手な付き合い方を知らなければ、のちのち大きな問題に。
そこで今回は、介護疲れやストレスが引き起こす問題や原因、時々の状況に合ったストレス解消法をお伝えします。
ストレスを抱えたままでは、介護する側、される側の双方で悪循環が生じることに。
ストレスの原因を知ることで、ストレスの発生を未然に防げるほか、無理なく介護を続けることができます。
そして介護のストレスと付き合うには、
「自分にあったストレス解消法を行うことが重要です。」
以下、詳しくみていきましょう。
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1.親の介護によって生じる問題とストレス
厚生労働省の調査によると、同居しながら介護をしている人の 約7割がストレスを抱えています*1。
親の介護によるストレスは誰でも感じるものであり、ストレスを受けることは仕方がありません。
では、ストレスが生じる原因は何なのか、詳しく説明します。
介護離職
突然の介護がスタートすると、介護の負担の大きさから、仕事と介護の両立に悩む方が増えます。
悩んだ挙句、介護のために仕事をやめてしまう人は 年間10万人です*2。
仕事をやめなければいけないことへのストレスのほか、仕事復帰をしたいけれども以前と同じような仕事に就けないというストレスが生じることもあります。
周囲からの孤立
介護は多くの場合、家族の誰か1人が主な担当となって行うことがほとんどです。
介護に時間を多く割くために、これまでの友人関係を維持することが困難に。
さらに、家族からも理解が得られない、協力が得られないこともあります。
コミュニケーションが減るため、自然とストレスも溜まりやすい状態になります。
家族間の問題が表面化する
準備もなく介護が必要な状況になった場合、誰が介護をするのかという主な担当者を決める争いや、介護費用を誰が負担するのかという問題が起こります。
特に家族間であまり仲が良くなかったケースなどは、介護を機に問題が起こりやすくなることが多いです。
人間関係の問題や経済的な問題を介護をしながら解決していくことは、それだけでも大きなストレスになります。ストレスが限界に達すると、介護放棄や介護殺人に発展する可能性もあります。
2.ストレスによって生じる病気や症状
介護のストレスによって病気になったり、身体的・精神的な負担による症状が出たりします。
ストレスや疲れの溜まる場面を知ることは、ストレスを未然に防ぐひとつの手段です。
以下、ストレスによって生じる病気や症状をお伝えします。
ストレスが原因の病気
介護ストレスによる病気で、一番に名前が挙がるのが「介護うつ」です。
症状は、
などさまざま。
初期の場合は本人も周囲の人も気付きにくいので、意識的にご自身の体調に意識を向けてみてください。
介護うつの原因は、介護の精神的ストレスだけでなく、身体的負担や経済的負担などからくる精神への負担もあります。
介護うつを未然に防ぐためにも、介護による負担を把握してコントロールすることが重要です。
身体的な負担
身体介助は肉体労働のようなもの。
入浴やトイレ、起床など、一日の中で何度も体を持ち上げたり支えたりする必要があります。
そのため、介護者が膝を痛めたり腰を痛めたりすることもあります。
また、夜間のトイレやおむつ交換が必要な場合、十分な睡眠が取れずに身体的な疲れが溜まる原因に。
これらの負担は、要介護者の介護度が上がるほど増えていきます。
精神的な負担
精神的な負担がかかるのは、主に3つの場面です。
まず、
・言うことを聞いてもらえない
など、介護中の負担です。
次に、挙げられるのが、
家族が介護に非協力的、口出しだけしてくるなど、介護者が孤立することで精神的な負担が溜まっていきます。
最後に、
介護サービスを使っているのに言いたいことが言えない、疑問があっても満足に説明もしてもらえないなど、介護に関係する外部の人との関係性の中で精神的負担がかかります。
3.あなたにあった3つのストレス解消法
先ほども紹介したように介護者の約7割がストレスを抱えています。
介護ストレスは多くの介護者にとっての問題です。
そこで、実際に介護ストレスを解消されている方がやっているストレス解消法を紹介します。
それぞれの状況にあった解消法を紹介しますので、あなたにあった解消法がきっと見つかるはずです。
一人で介護を抱え込んでいる方
⇓
適度な気晴らし(レスパイトケア)
在宅介護中の要介護者の方が福祉サービスを利用中に、介護をしている家族が休息を取れるようにする支援をレスパイトケアと言います。
介護は家族がやるものという考えがまだ根強く残っていますが、介護の素人がすべてを完璧にこなすのは困難です。
介護保険を利用したデイサービスやショートステイなどで日中の介護を任せ、自分の時間を作りましょう。
誰にも相談できずに途方にくれている方
⇓
本音を話せる相手や仲間を作る
ストレスが溜まる原因のひとつは、吐き出さずにため込むことです。
そのため、本音を話せる人を作っていきましょう。
介護の話に共感してもらえる人に限定すると難しいため、趣味の仲間など、いろんな角度から仲間づくりをするのがおすすめです。
今はオンラインでもビデオ通話ができるので、オンライン上のコミュニティなども検討してみてください。
気力ややる気、関心が持てない
⇓
新しい趣味をもつ
介護のことだけを考えていると、終わりが見えずに疲れが溜まっていきます。
前向きな気持ちになるには、新しい趣味などにチャレンジして楽しめる目標を見つけることです。
そうすることで、趣味の仲間も作りやすくなります。
4.それでも解決しない場合
介護は長期にわたるため、日頃からストレスをうまくコントロールしていくことが大切です。
介護者が動けなくなっては本末転倒です。
これらの方法でも解決できない場合には、施設入居も選択肢として考えてみましょう。
施設入居を選択肢として準備するだけで、気持ちが楽になる可能性もあります。
また、施設に入居したからといって家に戻ってこれないことはなく、毎日面会に行くこともできます。
選択肢を広げながら心にゆとりを持ち、介護ストレスと上手に付き合っていく方法を身につけていきましょう。
*1厚生労働省 平成28年国民生活基礎調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/
*2総務省 平成29年就業構造基本調査
https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2017/index2.html