2021.06.01
簡単フローチャートでわかる老人ホームの種類と選び方のポイント7つ
老人ホームには種類がたくさんあり、「選び方がよくわからない」という声が聞かれます。
そこで、複雑で難しそうな老人ホームの選び方のポイントを7つにまとめ、入居予定のかたに合った老人ホームはどれなのかが簡単にわかるフローチャートを用意しました。
それぞれの施設の特徴もご紹介しますので、老人ホーム選びにお役立てください。
index
1.老人ホームとは?
老人ホームとは、高齢者が入居する施設(住まい)の総称です。
昨今そのニーズが多様化したため、ひと口に老人ホームといっても、さまざまな種類があります。
老人ホームの選び方で重要なのは、
- ・入居者の健康状態や要介護度
・年齢などの入居条件
・提供されるサービス
・設備
・費用
・立地
などの条件です。
それに加えて、国や自治体からの財政支援を受けている公的施設なのか、社会福祉団体や民間事業者が運営する民間施設なのかという運営主体の違いもあります。
介護施設とは? 老人ホームとの違いは?
施設のサービスとして生活の補助や介助を行なっているところを一般的に介護施設といい、入所型や通所型があります。
老人ホームは入居型で、「食事の提供、介護(入浴・排泄・食事)の提供、洗濯・掃除等の家事の供与、健康管理のいずれかのサービス(複数も可)を提供している施設」となります。
介護が必要なかたの場合、介護サービスを受けられる介護施設を選びます。まずは介護保険を利用できる公的施設から検討しましょう。
公的な介護施設は、3種類あります。
特別養護老人ホーム(特養)と介護老人保健施設(老健)、介護療養型医療施設(介護医療院)です。
このうち、介護老人保健施設と介護療養型医療施設の2つは医療サービスが受けられる医療施設です。医師や看護師などが常駐します。いずれも要介護1以上で65歳以上のかたを対象とします。
参照:厚生労働省 施設・居住系サービスについて
厚生労働省 有料老人ホームの概要
特別養護老人ホームと老人ホームの違いは?
老人ホームは「食事の提供、介護(入浴・排泄・食事)の提供、洗濯・掃除等の家事の供与、健康管理のいずれかのサービス(複数も可)を提供している施設」なので、介護サービスの提供がない施設もあります。
また有料老人ホームなどは、民間運営のところもあるので、施設によって受けられるサービスや質、入居条件には違いがあります。
公的な介護施設である、特別養護老人ホームは介護を中心とする福祉施設です。
介護保険法の特定施設に指定されているため、設備やサービスなどの水準が保たれています。
入居できるのは、原則として要介護3以上で65歳上のかたです。
2.老人ホームの選び方で押さえておきたい7つのポイント
老人ホームの選び方にはいくつかのポイントがあります。
さまざまな条件や希望があるでしょうが、押さえておきたいのは次の7つです。
自立か? 要支援・要介護か?
最初に確認しておきたいのが入居予定のかたの状態です。
自立か要支援、要介護の大きく3種類に分かれます。
自立は、食事やトイレ、入浴など、自分で日常生活ができ介護サービスの必要がないことを意味します。
要支援とは、身体的機能の低下などにより日常生活を送るための支援が必要な状態を、要介護は、日常的に介護が必要な状態をさします。
要支援は2段階(要支援1または2)、要介護は5段階(要介護1~5)で、数字が大きいほど、介護の必要度が高いことを表します。
終身で住むのか?一時的に住むのか?
終身で住む予定なのか、介護状態に応じた住みかえを前提とし一時的に住む予定なのかも、老人ホームの選び方では大切なポイントです。
終身利用を希望する場合は、その施設が看取りに対応しているか確認しておきましょう。
認知症の有無
認知症に対応しているのかどうかによっても、老人ホーム選びは変わってきます。
老人ホームのなかには認知症に対応している施設とそうでない施設、程度によって受け入れ可否が変わる施設があります。
入居の緊急度
施設によっては、申し込み順よりも入居の緊急度が重視されます。
緊急度の判断には、要介護度や医療ケアの必要度、身元引受人の有無、年齢、収入などが検討され、総合的に判断されます。
入居にかけられる予算
入居費用は非常に大切なポイントです。
また、民間施設では、月額利用料のほかに入居一時金アリとナシの2パターンを用意しています。
特に80代以降の人には、一時金ナシ(月額がその分高くなります)のパターンを勧めてくる場合が多くなります。
また、要介護度や負担割合(本人の所得に応じて)によっても料金が変動しますので、後々支払いが苦しくならないように考慮しつつ、無理なく支払える金額の施設を選びましょう。
民間施設よりも公的施設のほうが費用は安めです。
公的施設であれば、入居費用は入居時の要介護度や収入など、国が定めた基準によって決まります。
民間施設の場合、施設が自由に料金を設定できるため、居室の設備や医療介護体制、立地などによって入居費用に大きな幅があります。
入居者のニーズに対応可能か?
入居者のニーズをどれだけ満たす施設かということも考慮しましょう。
毎日の食事や生活の楽しみとなるレクリエーション、イベントなどのサービスが充実しているかどうかは入居前に確認しておきたいポイントです。
施設のグレードや居室のランクという視点も、実際に生活する本人にとって重要です。
面会も視野にいれた立地
立地は老人ホームの選び方のなかで忘れてはならないポイントです。
入居されるかたの自宅近くにするか、身元引受人の近くにするかは判断がわかれるところでしょう。
面会やいざというときのことを視野に入れ、移動時間や費用、アクセスの良さなども考慮して検討することをおすすめします。
3.あなたの希望にあった老人ホームの選び方フローチャート
老人ホームの選び方で大切な7つのポイント踏まえて、選び方をわかりやすくフローチャートにまとめました。
希望に合う老人ホーム選びの目安にしてください。
老人ホーム・介護施設の種類一覧
施設によってサービスや入居条件は異なる場合もありますが、フローチャートである程度老人ホームの目安をつけたあとは、それぞれの施設の違いを見ていきましょう。老人ホームと介護施設の種類を一覧にしました。
介護付き有料老人ホーム
3種類ある有料老人ホームのなかでも充実した介護サービスが受けられる民間施設です。
介護スタッフが常駐するため、24時間365日、入居者の状態に合わせた介護を受けることができます。
介護保険法の特定施設に指定されているため、設備やサービスの質が保たれ、施設サービスにも介護保険が適用されます。
介護専用型と混合型の2種類があり、入居条件は、介護専用型は要介護1以上、混合型は自立しているかたも入居可能です。
住宅型有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームよりも入居者の幅が広く、レクリエーションの種類が多いことが特徴です。
介護サービスを受けたい場合には、外部業者と契約し在宅での介護サービスと同様に利用します。
夫婦での入居希望があり、2人の自立度や要介護度に差があれば、検討したい施設です。60歳以上のかたが入居できます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
バリアフリーなどの設備があり、自立可能なかたが多く入居している民間施設です。
安否確認、生活相談サービスはありますが、食事や介護を含むそのほかの提供サービスは施設によって違います。
住宅型有料老人ホームと同じく、自立度、要介護度が違う夫婦で入居したいという場合に検討されることが多く、外出に関する制限はほぼありません。
60歳以上のかた、または要支援・要介護認定を受けた60歳未満のかたが入居できます。
グループホーム
認知症のかたのための民間施設です。
認知症の特徴を踏まえて少人数で共同生活を送ります。
個室を用意している施設もあります。
医師により認知症の診断又は専門医を受診し診断書が発行されている、要支援2または要介護1以上、施設と同一の市区町村に住民票があることなどが入居条件です。
ケアハウス
自立している、もしくは要介護度3程度までの方のための公的施設です。
入居費用の安さが大きな特徴で、介護を必要としないかた向けの一般型と介護を必要とするかた向けの介護型という2種類があります。一般型は60歳以上で、介護型は要介護1以上かつ65歳以上のかたを対象にしています。
特別養護老人ホーム(特養)
24時間体制で介護が受けられる公的施設です。
介護保険法の特定施設でもあります。
認知症への対応可能で終身利用ができるため、人気があり入居待ちの待機者が多いですが、緊急度の高いかたが優先的に入居します。
原則として要介護3以上のかたを対象とします。
介護老人保健施設(老健)
退院後、すぐに在宅復帰するのが難しいかたに在宅復帰を目指してリハビリテーションを提供する公的施設です。
医療機関なので医師や看護師、理学療法士などの医療スタッフから質の高いサービスを受けることができます。
要介護1以上で、65歳以上のかたが対象です。
介護療養型医療施設(介護医療院)
長期的な医療ケアと介護を必要とするかたのための公的施設です。
こちらも医療機関で、症状が重いかたや在宅復帰が難しい場合に、要介護1以上で65歳以上の方が対象です。
4.入居する施設を決めるまでの手順
入居までの準備は大きく3つの段階にわかれます。
どのようなことに注意すればいいのか、それぞれ具体的に見てみましょう。
パンフレットやインターネットで情報収集
老人ホームの選び方の第一歩は情報収集です。
パンフレットを取り寄せたり、インターネットで調べたりして、必要な情報を確認しましょう。
ご紹介した7つのポイントに沿って調べていくことをおすすめします。
この段階ではまだ希望施設をひとつに絞らずに、できれば評判も調べておくとよいでしょう。
ケアマネジャーに相談
次は、ケアマネジャーに相談します。
すでに在宅介護をしている場合や退院後など、老人ホームへの入居のきっかけにはさまざまなケースがあります。
ケアマネジャーは地域の介護施設等の情報に精通していることも多く、介護度や症状、病状によって該当となる施設について理解をしているため、その状況にあった施設を選ぶためのアドバイスをしてくれる、頼もしい存在です。
入居を検討している施設のサービス内容や、申し込みを行う際に入居者に合っている施設なのかを確認する際、現在担当してくれているケアマネジャーへ相談してみましょう。
ケアマネジャーと契約をしていない場合は、所在地となる地域包括センターの主任ケアマネジャーへ相談してみましょう。
見学・体験申し込み
気になる施設があったら、見学や体験入居の申し込みをしましょう。
見学では、入居者やスタッフの様子、食事内容、施設の設備などを実際に見ることができます。
カメラと事前に取り寄せたパンフレットなどを持っていき、印象や得た情報を書き込みましょう。
介護という日常生活のサポートを受ける場所なので、相性を知るために体験入居の活用をおすすめします。
現在は新型コロナ感染の影響で見学が難しいところもありますが、オンラインで見ることができる施設もあります。(一部、体験入所自体ができない施設も存在します。)
➡オンライン見学について詳しく知る
5.老人ホーム選びは、安心して暮らせる、楽しい老後の場所選び
老人ホーム選びは、老後を安心して楽しく過ごすための住まい選びともいえます。
入居予定のかたの健康状態や要介護度などに加え、施設の設備やサービス、立地など検討しなければならないことはたくさんあります。
情報収集や必須条件、希望条件を整理していくなかで、入居する本人やケアマネジャーとよく話し合い、最適な老人ホームを選んでください。
記事監修