2021.07.20
訪問美容サービスとは?料金相場から利用方法を解説します
障害や高齢のために自分で理容・美容室に行けない方々のために「訪問美容」というサービスがあります。
自宅や病院、施設に理容師・美容師が訪問し、ヘアカットやシャンプーなどのメニューを提供してくれるというものです。
一方で利用できる人には条件があるほか利用に当たっての注意点もありますので、ここでご紹介します。
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1.訪問美容とは?料金相場は?
訪問美容は誰でもが利用できるというわけではありませんので、まず、対象などについて説明します。
訪問美容サービスの特徴
理容師・美容師は、基本的に理容所や美容所以外の場所でサービスを提供してはならないことになっています。
しかし特定の場合に訪問で理容や美容を行うことができる、というのが訪問美容サービスです。
定期的に自宅や病院、介護施設などを訪問する訪問美容師の方々がいます。
利用対象者
特定の場合として訪問美容を利用できるのは次のような方々です。
<利用できる方>
- 病気などの理由で理容所・美容所に来ることができない方
- 婚礼などの儀式に参列する方
- 自治体が条例で定める場合
高齢者が日常的に出張美容を利用する場合は、「病気などの理由で理容所・美容所に来ることができない方」にあたることが多いでしょう。
メニューと料金相場(自宅での利用)
訪問美容で受けられるサービスは、その人の体の状態にもよりますが、カット、シャンプー、カラー、パーマ、顔そりなど豊富です。
自宅で訪問美容サービスを受ける場合の料金相場は、概ね以下の通りです。
利用する企業や地域によって差がありますので注意してください。
メニュー | 料金相場 |
カット | 3000円〜6000円 |
シャンプー | 1000円〜3000円 |
カラー | 4000円〜9000円 |
パーマ | 5000円〜8000円 |
トリートメント | 1000円〜3000円 |
顔そり | 500円〜1500円 |
また、寝たままでのカットやシャンプーについては別途料金が上乗せされることもあります。
メニューと料金相場(施設での利用の場合)
施設で訪問美容を利用する際の料金の相場は概ね以下の通りです。
メニュー | 料金相場 |
カット | 2000円〜4000円 |
シャンプー | 1000円〜3000円 |
カラー | 4000円〜8000円 |
パーマ | 4000円〜8000円 |
トリートメント | 500円〜3000円 |
顔そり | 500円〜1500円 |
なお、全体的に自宅よりも施設で利用する方が安い傾向にあります。
自宅の場合は出張費を設定する事業者がよく見られます。
これは、自宅の場合は無理のない体勢での施術とならないように、といった高度な技術が求められるからです。
一方で施設の場合は、1度の訪問で複数人施術できるほか、手助けをする介護職員がいるから、などの理由が考えられます。
また、NPO法人が実施している訪問美容の場合、比較的安く利用できる可能性がありますので比較してみると良いでしょう。
2.訪問美容サービス利用手続きとポイント
訪問美容の流れは以下のようなものです。自宅で利用する場合の一例を紹介します。
利用の手順
- ① 自宅到着
-
訪問美容師の車を停められるスペースがあれば案内しましょう。
訪問美容師は到着後、家の中で場所の確認をします。
部屋にじゅうぶんなスペースがないなど、場合によっては浴室などで施術する場合もあるためです。 - ② 施術準備
-
切った髪などが床に落ちることがありますので、レジャーシートなどを広げます。
また、基本的には自宅にある椅子を使います。 - ③ カウンセリング
-
希望のスタイルや、生活上で髪型によって困っていることなどを伝えます。
また、無理のないように、その日の体調についても伝えると良いでしょう。 - ④ 施術開始
-
移動や体勢を変えるなどの際は、同居家族も手伝う必要があります。
途中でトイレに行きたくなる、といったこともあるでしょうから、家族は近くで見守りましょう。 - ⑤ 後片付け、会計
-
施術が終了したら、美容師は後片付けと、利用したスペースの掃除を行い、その後会計となります。
介護保険との関係
訪問理美容は介護保険が適用されるサービスではありませんが、自治体によっては助成金を給付したり、補助券やクーポンを発行したりしているところがあります。
例えば東京都練馬区では、65歳以上で要介護3〜5にあたる人には年間5枚の利用権を配布しているほか、東京都北区では要介護4〜5の人に対し、自己負担を2000円とする制度を設けています。
自治体によって助成のしかたが異なるので、自治体や地域包括支援センターなどにたずねましょう。
申請に必要な手続きを教えてもらえます。
3.訪問美容でのトラブルや注意点
さて、便利なサービスである訪問美容ですが、時にはトラブルも生じます。
刈り上げにされてしまうことも?
施設の訪問美容で刈り上げや坊主頭にされてしまった!というトラブルがネット上などでよく見受けられます。
訪問美容は場所や利用者の体の動きなどに限りがあるため、本来は高い技術を必要とするものです。
しかし事業所によっては未熟な理美容師を訪問させるところもあるようです。
技術が足りない理美容師の場合、細やかな対応ができず、結果として不本意な仕上がりになってしまうというトラブルが発生してもおかしくありません。
相場を超えて安すぎる料金設定の場合は質が下がる場合もあります。
可能であれば、周囲の評判を聞いて事業者を決めるのが良いでしょう。
認知症の方の注意点
また、認知症がある方の場合は、さらに注意が必要です。
予約そのものを忘れてしまう、お金の準備を忘れてしまう、などのトラブルは起こりがちなことでもあります。
以下のように工夫をするとよいでしょう。
・訪問日用が楽しみになるような仕掛けを準備する
・どんな髪型にしたいか話し合ったメモを残す
・予約時に振り込みができるようであれば極力そちらを選ぶ
このように「頼んだ覚えはない」とならないよう、訪問日が楽しみになるような仕掛けが必要です。
どんな髪型にしたいか話し合ったメモを残しておくといったことも重要でしょう。
「楽しみ」に思えるよう、周囲が盛り立てていくのは必要なことです。
料金のトラブルについては、どのような支払い方法が可能かを事業者に確認し、予約時に振り込みができるようであれば極力そちらを選ぶようにするとよいでしょう。
寝たきりの方の注意点
寝たきりの方の場合は、体を動かすことに注意が必要です。
どこかに麻痺がある、どこまでは家族や介護職員の支えがあれば動ける、など、事前に伝えておく必要があります。
ある程度の時間をそのまま過ごすにはどのような体勢が良いのかを考えておきましょう。
自宅で利用する場合は、必要に応じて訪問介護のヘルパーさんの訪問日に合わせて訪問美容を利用し、協力してもらうのも良いでしょう。
4.訪問美容とヘルスケアの関係
訪問美容を利用することは、衛生面だけでなく、心に充足感をもたらします。
すこし話は変わりますが、認知症予防に社交ダンスが有効であるという話が以前、テレビなどで話題になったことがあります。
アメリカのアルバートアインシュタイン医大が2003年に医学誌で発表したもので、当時大きな話題になりました。
社交ダンスは音楽に合わせて体を動かさなければならない、という多くの感覚を刺激することが運動機能の維持や認知症予防になる大きな理由と考えられますが、衣装選び、つまりおしゃれへの意識が脳を刺激する良い機会になると考えられます。
また、身だしなみを整えることは自信にも繋がり、他の人と積極的に交流し続けられるほか、人と会ったときの話題にもなります。
➡【インタビュー記事】身だしなみが整うと、自信を持って生きられる。シニアに寄り添うソーシャルベンチャーが目指す未来
前向きさを維持するためにも身だしなみを気にするのは良いことであり、心の豊かさにも繋がります。
5.訪問美容と介護施設
介護施設では、提携している訪問美容サロンがあったり、施設内に理美容室を持ったりしているところもあります。
それらを積極利用して気分転換をはかるためには、周囲の家族が声かけをするのが良いでしょう。
「だいぶ髪が伸びてきたね」
「こんな髪型にしたら似合うんじゃないかな?」
といった話は、高齢者の心を刺激するきっかけになる可能性があります。
また、髪に限らず、出張ネイルサービスを行っている事業者もあります。
いつでも鏡や自分の目で確認できる自分の良さを感じられるのはとても大切なこと。
施設入居を検討されている方は、美容を軸に介護施設を探してみるのも一つの手でしょう。
こうした情報は入手しずらいことがありますので、直接アテンダントへお問い合わせしてみることをおすすめいたします。
➡アテンダントについて詳しく知る
6.まとめ
ここまで、訪問美容の理容のしかたとその効果などについてご紹介してきました。
髪型に限らず、身だしなみに気を遣うということは心の充足感もそうですが、「どんな風にしたいか」と自身に考えさせることもまた重要でしょう。
受け身なだけでいるのではなく、意見や要望を持ち、それを伝える、そして叶えられるというのは前向きな心理を生むものです。
「次回はどうしようかな?」
そのように考えられることで前向きさが増します。
また、できれば介護の知識がある理容師・美容師を選びたいものです。
そして「次に来てくれるのが楽しみ」という理美容師は指名し、継続したお付き合いを維持したいところです。
身だしなみを整えることは、見た目を清潔な状態に保つことのみならず、精神を豊かにするためにもとても重要です。
こうした考え方が普及し、近年メイクセラピーや化粧療法に注目が集まっております。
詳しくは、以下の記事をご参考にしてください。