2021.02.26
【高齢者が自宅でできる筋トレ】足腰の強化に効果的な筋トレグッズをご紹介!
年を重ねるごとに筋力の低下、体力の低下を感じる方もおおいかもしれません。
20-30代で筋肉量はピークとなり40-50代で下降の一途をたどります(*1)。
筋力の衰え、関節の異常など運動器の問題は寝たきりの原因です。
若い時の運動習慣はもちろん大切ですが、高齢になってからの筋力トレーニングも筋肉の保持、増強に効果的であり、健康に年をとるために必要といっても過言ではないでしょう。
トレーニングマシンを使うだけが筋トレではありません。
今回は、道具を使わずに自宅で出来る筋力トレーニングの方法をご紹介します。
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1.高齢者が筋トレをおこなうべき理由
日本人の平均寿命は年々高齢化し、男性で81歳、女性では87歳と男女ともに80歳を超えています。
一方で、介護を必要としない状態の健康寿命は男性で72歳、女性で74歳と女性では実に10年以上も平均余命とのかいりがみられているのです。
日本人の平均寿命と健康寿命 | ||
男性 | 女性 | |
平均寿命 | 81歳 | 87歳 |
健康寿命 | 72歳 | 74歳 |
だれもが、健康な状態で年を重ね、最後まで誰の手もかりずに生活したいと思っているでしょう。
寝たきりになる原因の多くは運動機能が低下や、動脈硬化の進行による脳卒中など運動習慣と関係しています。
以下、筋トレを行うべき理由を順に解説します。
転倒を予防することができる
寝たきりになる原因の1割以上をしめるのが骨折や転倒です。年齢を重ねるごとに筋肉量が低下していき(*2)、骨も脆弱になってきます。
筋肉量の低下
⇓
歩行不安
⇓
転倒リスクの増加
こうした悪連鎖が絡み、骨がもろくなっているところに転倒すると骨折につながるのです。
運動をすることで筋肉を鍛え、筋肉量の維持、増強をつながることになります。
また、運動習慣など骨に負荷をかけることで骨は強くなります。
高齢者にとっては、たった一度の転倒が命とりになりますので、大変注意が必要です。
認知症予防になる
1週間の歩行時間が長いひとほど認知機能が保たれていることがわかっています。
以下、認知症と運動に関する1つの研究結果(*3)をご紹介します。
運動習慣がアセチルコリンという化学物質をふやし、脳の働きを活発にすると推定されています。
若者でも高齢者でも歩行により脳の血流が増えることがわかっており、年を重ねてからの運動習慣でも認知症に効果があるといえるのです。
基礎代謝が向上し健康維持につながる
運動習慣は筋肉量をふやし、基礎代謝をあげることができます。
基礎代謝があがることで血圧や体温があがります。自律神経のバランスが整う、全身の血流が増えることで胃腸の調子や睡眠の質もよくなります。
「基礎代謝」は「体力」といいかえてもいいかもしれません。
疲れやすさや免疫力ともかかわっているといえるでしょう。
2.自宅で高齢者が無理なく行える筋トレ
筋トレというとマシーンを使っておこなうことをイメージするかもしれません。
しかし、自宅でできることも多くあります。
自宅でできるトレーニングでも負荷を重くすることで効果は高まります。
足腰を強化する筋トレ(初級)
スクワット
その状態で深呼吸しながら膝がつま先よりも前にでないように腰をさげます。
息を止めないこと、膝は90度以上曲げないようにゆっくりおこなってください。
支えが必要なひとは机に手をついて十分注意しておこなうようにしましょう。
下肢の筋力をつけることができます。
フロントレンジ
太ももが水平になるまで腰を深くさげたあとは体をあげ、脚は元の状態にもどします。
上体は胸をはること、バランスを崩さないように気をつけてください。
下肢の柔軟性やバランス能力や筋力をつけることができます。
ヒールレイズ
これを10~20回ていどくりかえします。
立位が不安定で心配なひとは壁や椅子に手をつけるなどをしてバランスを崩さないよう注意してください。
座りながらかかとをあげるのも効果的です。
ヒールレイズではふくらはぎの筋力をつけることができます。
足腰を強化する筋トレ(中級)
ヒップリスト
背中とお尻、大腿部がまっすぐになるまで腰をあげてください。
膝の間にペットボトルを挟みながらおこなうと的確な動作になるでしょう。
お尻、太ももの後ろ側を鍛えることができます。
フロントブリッジ
腹筋など体幹だけでなく下半身の筋肉も鍛えることができる筋トレです。
うつ伏せの状態で腕は肩幅ほど広げます。
肘と前腕を床につけ上半身を上げ、つま先と前腕で身体を支えるかたちをつくります。
お尻をあげず頭からつま先まで一直線のイメージでやってみてください。
30秒程度からはじめ、慣れてきたら徐々に時間を長くするようにすると負荷を増やすことができます。
3.足腰の強化に効果的なおすすめ筋トレグッズ
ピラティスボール
座った状態で安全にボールを使った運動ができます。
座った状態で太ももの間にボールを挟みます。
ボールを10秒程度押しつぶす運動をすることで内転筋と腹筋を鍛えることができるのです。
座った状態で床にボールを置き、片足は床でバランスを保ち、片足でボールを潰します。
足全体で押す、指で押すなどバリエーションをつけるといいかもしれません。
大腿四頭筋やハムストリングを効果的に鍛えることができます。
バランスディスク
椅子に座るときにバランスディスクを敷くだけで体幹を鍛えることができます。
その状態での足踏みや、つま先立ち、片足づつ水平に足を伸ばすなどの運動をしてみてください。
エクササイズバンド
自重運動にエクササイズバンドをプラスすることでより効果的な筋力トレーニングになります。
いくつか負荷の段階もあるため筋力がついてきたら少しずつ負荷を強くすることもできます。
4.まとめ
40~50代を境に筋肉量は低下していきます。
若い頃からの運動習慣をもつことは健康寿命をたもつのに大切といわれていますが、高齢になってから運動習慣をもつのも遅くありません。
運動することで筋肉量、筋力をつけることが日常生活の質を向上させることにつながります。
今回は自宅で気軽に取り組める筋トレを紹介しました。
負荷の軽いものからはじめていき、徐々に負荷の強いものも取り入れていくようにしてください。
体力や健康の維持には、専門的な知識をもった機能訓練士から専門的なリハビリを受けることも効果的です。
ぜひこちらの記事も参考にしてみてください!
*1,2 谷本芳美 渡辺美鈴 河野令 広田千賀 高崎恭輔 河野公一「日本人筋肉量の加齢による特徴」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/47/1/47_1_52/_pdf
*3 東京都健康長寿医療センター研究所「歩行は、なぜ認知症予防につながるのか」
https://www.tmghig.jp/research/topics/201412/