2021.04.07
終活とは?エンディングノートの書き方から終活でやることリストをご紹介
ある程度年齢を重ね、自分に万が一のことが起こった場合、そのときに残された家族のことを考えはじめるかと思います。
悔いのない人生を歩み、残された家族に迷惑をかけずに生涯を終えるのが理想ですよね。
今回は、そのために近年着目されている「終活(しゅうかつ)」についてまとめました。
終活について知ることで、自分がなにをして、なにを残せるのか、そのために今からできることなどが見えてくるとおもいます。
終活に興味はあるけれども、どうしたら良いのかわからないという方、必見です。
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そもそも終活とは?何歳から行うのか
終活とは「人生の終わりのための活動」の略称です。
人生の最期をどのように迎えるのか、周囲の残された人たちに向けて何をどのように残していくのか。
自分で考え、行動できるうちに最後のときを見据え準備していく。
それが「終活」です。
いつから、いつまでにすればよいという明確な決まりはありません。
終活とは、人生の終わりのための活動
自分の死後や死の間際(意識がない状態)のときでも、自分の意思表示をしておけば、家族が悩んだり困ったりせず、あなたの意志を尊重しようと行動できます。
終活はそのための準備です。
日ごろから意識することで、残りの人生を後悔しないように過ごすための手段のひとつです。
万が一を考えると、早く始めることにまったく問題はないでしょう。
終活を行うメリット
今までの人生や生活を整理して、これからの人生を悔いのないように過ごせます。
残りの人生に対し、どのように向き合い過ごしていくのか、やりたいことは残っていないのか、これからの幸せはなにかを見定める。
自分で人生のゴールや終着点を決めることで、前向きに明るく生きられるでしょう。
自分で自分の人生を完結することで、残された家族の負担と不要な争いを避けることができます。
いつから始めるとよいか
きっかけは人それぞれですが、自分の年齢が高齢になって、意識をしはじめる例が多く、次いで自分の親が死んだ、退職、など、人生においてなにかしらのイベントが生じたときがきっけとなるようです(図1)。
図1 終活を意識し始めたきっかけは何ですか?
出所「はじめてのお葬式ガイド【終活に関する意識調査】47.3%が終末の必要資金が足りるか不安と回答 」
https://www.e-sogi.com/guide/17574/
つまり、「もしかしたらそう遠くない未来に、万が一のことが自分にも起こるかも」と思えるきっかけがあったことで行動に移す傾向があるといえます。
この他にも、再婚して遺産相続人の人数が変わった、治らない病気が見つかったなどが、理由としては聞かれます。
何をすればよい?終活のやることリスト
では、実際に終活を始めるにあたって、なにを、どのようにすればよいのか悩むと思います。
次に実際に終活として、できること、やっておくと良いことをリストアップしています。
このリストを参照しながら、詳細の方法についてもまとめていますので、以下を参照してみてください。
やることリスト
1. | 終活ノートを作成する |
2. | 断捨離をする |
3. | 相続の準備をする |
4. | 葬儀やお墓に関する事柄を決める |
5. | 遺影用の写真を選び |
6. | ペットのお世話係を決める |
ここからは、やることリストで紹介した事柄について、順に解説していきます。
やること①終活ノート(エンディングノート)を作ることから始める
終活をどのように進めるのか考えるのに、指標としやすいものが「エンディングノート」です。
エンディングノートの内容について、以下にまとめました。
終活ノート(エンディングノート)とは?
エンディングノートとは遺言書とは違い、法的な効力は発しません。
今までの人生を振り返り、これから来る未来をどうしていきたいのか、その未来の中で、自分が死んだあとの出来事に対し、残された家族がどうしたらよいのか、自分がどうしてほしいのかを考え、まとめるものです。
ゆっくりと人生を見つめなおすことで見えてくること、考えが出てくるケースもあるでしょう。
そのときに思ったことを、そのまま記入することから始めます。
終活ノート(エンディングノート)を書くメリット
今までの人生から、終着点を見定めることで、残りの人生を有意義に送れます。
・意識がなくとも、自分の思いを伝えられる
病気がケガ、死去などで思いを伝えられない状況になっても、記しておくことでメッセージとして残しておけます。
・家族があなたの思いを尊重して、行動できる
本人の意思を確認せず、最後のときの選択を家族がするのは、思った以上に精神的な負担がかかるものです。意思を示しておくことで、家族の「これでよかったのだろうか」という後悔や不安、家族間同士の意見のすれ違いを防げます。
エンディングノートの書き方
エンディングノートとはいいますが、必ずしもノートにまとめる必要はありません。
手紙やメモ帳などでも良いのです。
書く内容や伝えたいことに悩むようだったら、市販のエンディングノートを購入してみるのも良いでしょう。
保険会社や葬儀会社にて、無料で入手できることもあります。
おもな記載内容のひな形が用意されているので、なにを書こうか悩んでいる場合にはおすすめです。
内容はそのときどきで伝えたいことを書けばいいでしょう。
追記・修正も問題はありません。
その場合には、日付を記入し、最新の情報がわかるようにしておきます。
他者が勝手に改変ができないように、ボールペンで記載することをおすすめします。
大切なのは、何よりも家族や友人に自分の思いが伝わることです。
実際に記載していく例を以下にまとめました。
自分自身について
個人で入っているサービスやパス、退会手続きなどをまとめておきます。
最近ではスマホを使用したアプリやウェブサービスの年会費、月額費用が掛かってくるものもあります。
それらの個人Noやパスワードを記載しておくと、遺族の事後処理が楽になります。
意外と発見されないのがインターネットバンキングやインターネットで契約した証券です。
もし今の段階でノートに書くことをためらうのであれば、「セキュリティシール」などを活用し、目隠ししておくとよいでしょう。
医療介護について
もし自分が認知症などで、適切な判断力を欠いた場合、成年後見人はだれにするのか。
事故や病気などで意識不明になった場合や、自分で意思表示ができなくなった場合、延命治療は希望について記載するとよいでしょう。
具体的には、その場合はどこまでの治療を求めるのかという点を、
・人工呼吸器の使用
・脳死判定について
・胃ろうでの栄養管理
などの観点から、細かく記しておくと、遺族の選択が楽になります。
残された家族が命の選択をするのは、非常に苦しいものです。
そんなときのために、本人が主張した意思表明ができれば、もめずに対応することが可能です。
葬儀、納骨について
一般的に、病院などで死亡が確認された場合、病院と提携している葬儀会社を紹介されることが多いようです。
自分で希望する葬儀の方法や会社があれば、それを明記しておきます。
死んだあと、執り行う葬儀の形式について、希望があれば記しておくと良いでしょう。
お墓も既存の墓に入るのか、新たに建てるのか、建てる場合、管理はだれにお願いするのか、永代管理費はどうするのかなど、いろいろと検討することはあります。
最近では散骨や樹木葬など、手軽に死後管理できる方法もありますので、死後の扱い方も多種多様です。
希望する方法があればそれを記載しておきます。仏壇での管理についてもまとめておけば、完璧です。
相続財産について
自分が持っている、相続対象となる財産についてまとめましょう。
相続の対象となる財産は以外にも多く、以下にまとめています。
・交通事故、医療事故などの損害賠償請求権
・他社・自社の株式など有価証券
・借金や買掛金などの債務や保証債務
・著作権、特許権、実用新案権などの工業所有権
・借地権、借家権など
・貸付金、売掛金、手形金請求権などの債権
・土地建物、畑、山林などの不動産
・自動車・機械・家具などの動産
・書画、絵画、骨董、貴金属、衣類など
遺産となる財産が把握できたら、誰に何をどのように相続させるのかを考えておきましょう。
場合によっては遺言書でしっかりと明記して、相続分配をする必要があります。
遺言について
遺言がない場合は、法定相続人に対し、法定相続分でわけられます。
遺言がある場合、その効力は、死後自分の資産を自分の意志で処理するために、個人が取れる選択です。
遺留分なども含めると、すべてが思い通りにはなりませんが、きちんと手続きをおこなうことで、遺言書としての効力を発揮します。
遺言書は「自筆証書遺言書」が一般的です。
この場合は、いつでも誰にでもできる簡単な方法で、本人が自分の意志で全文、日付、氏名を書き、判を押せば遺言書となります。
紛失や変造の危険や方式不備で無効になる恐れがあります。
それが心配であれば「公正証書遺言書」が最も確実で安心です。
公所役場に赴き、作成します。費用と手間はかかりますが、確実です。
そのほかに、遺言書の存在を秘密にしたい場合には「秘密証書遺言」があります。
内容を死後まで秘密にしておきたい場合にとる方法です。
本人の署名捺印と、2人以上の証人と公証人が必要で、秘密保持と保管は確実ですが、方式不備により無効になる恐れもあります。
連絡先について
おもに葬儀のときにだれを呼んでほしいのか、どこに連絡が付けばよいのかをイメージして書いておくとよいでしょう。
多くのケースでは、呼んでほしい友人や遠方に住んでいる親せきなどを書いておくケースが多いようです。
ご家族へのメッセージについて
自由に書きましょう。感謝の言葉を伝えることが多いようですが、やはり残された人の幸せを願わずにはいられません
身辺整理でやっておくこと
不用品を整理しないで亡くなった場合、遺族が片づけをしなければなりません。
遺族の負担を減らすためにも、不用品は早めに整理しておきましょう。
片付けのみならず、財産関係やスマホのデータなど自分の身のまわりに関わるあらゆるものごとを整理することも含めて、身辺整理です。
以下で、身辺整理で行うべきことを解説していきます。
やること②断捨離をして不用品を片付ける
人間年を重ねると、愛着がわいて捨てるのに苦渋するものも多くあります。
自分にとって大切な思い出でも、家族にとっては不要なものかもしれません。
スマホの写真に取っておいて、いつでも見返せられるようにして、破棄してしまうといった思いきりも大切です。
断捨離のコツ
最初からあまりたくさん手を付けると、断捨離をすること自体が負担になり、継続する気持ちがなくなってしまうことも。日常の中で負担にならない量を少しずつ行っていきます。
・必要最低限のもので暮らすことを意識する
「いつか使うかも」「あまり使わないけど高かったんだよな」これらは断捨離対象です。いつかが来る前に自分の身になにかが起こるかもしれません。それは捨て時です。
・同じ用途のものを複数持たない
用途が同じものは多くても2つ~3つにとどめておきます。なくなったときに買い足せば良いのです。
やること③相続の準備をする
遺産目録を作っておくと、残された人たちの整理が楽になります。
自分の財産の内容を記載し、なにがどこにあるのかまとめておきます。
目録を作っている本人でも把握しきれない場合もあるので、思い出したときにすぐに記入できるようにしておきましょう。
基本的には遺言書と一緒に保管しておきます。
ここにはいわゆる資産だけではなく、負債もきちんと書いておきましょう。
場合によって、遺族は財産放棄を検討しなくてはなりません。
財産放棄には期限がありますので、その期限前に、家族が検討する猶予期間を設けられるようにします。
遺産や負債の存在を生前に話しておくと、残された家族が分配方法や、処理の仕方を検討できます。
実は遺産の量や額に限らず、細かなことでもめることもあるので、事前に話し合いの場を設けることも大切です。
やること④葬儀やお墓に関する事柄を決める
お墓やお仏壇として、形を残しておくのならば、誰に管理を依頼するのかも考える必要があります。
また、基本的には維持費や管理費、法要などがあればそれを執り行う費用も掛かります。
家族間で話し合い、任せる場合には余分に遺産を分配するなどの配慮も必要です。
やること⑤遺影用の写真を選ぶ
遺影用の写真も、残された遺族が決めるのは大きな悩みごとのひとつです。
しかもその選択を悲しみの中で決断することになります。
自分で「これを遺影用に使ってほしい」というものがあれば、選んでおくと良いでしょう。
あわせて持っている写真をデジタル化して、整理しておくのも良いでしょう。
やること⑥ペットのお世話係を決める
ペットを飼った以上、基本的には最後まで面倒をみる責任がともないますが、不慮の事故や病気などでお世話できなくなるケースもあります。
遺族が継続して飼ってくれるならば良いのですが、家族が飼えない場合は、引き取り手などを探して依頼しておき、何かあったらスムーズに連絡がつくようにしておきます。
あわせてかかりつけのペット病院や、持病があればその状態や管理についても記しておきましょう。
終活で利用できる便利なサービス
ほとんどの人が初めて行う終活。
どのようにはじめるのか進めたら良いのかわからない、誰かにサポートしてもらいたいと思うこともあるでしょう。
そのために活用できるサービスや手段を紹介します。
終活アプリを活用する
エンディングノートや遺言書での終活について触れてきましたが、最近ではアプリで終活をサポートしてくれるサービスもあります。
・エターナルメッセージ
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%A8%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8/id938612621
冠婚葬祭を総合的に提供しているサンセルモがプロデュースしているアプリです。アルバム生理機能や動画でメッセージを残せます。
エンディングノート機能もあります。
登録は無料です。
・100年ノート
https://apps.apple.com/jp/app/100niannoto/id930004064
シニア向けの情報誌『はいから』がプロデュースしている終活アプリです。
エンディングノート機能に加え、写真や音声を残せます。
利用料は無料です。
出先でノートなどは持ち歩きませんが、スマホならいつでも手軽に書きたいこと、残したいものを残せるのでおすすめです。
終活イベントに参加する
最近では「終活イベント」が開催されることもあります。
「終活って何をしたら良いのかわからない」という導入から「終活していて気が付いたけど、相続や資産の処理ってどうしたらいいの?」と終活を進めるにあたり困っていることも一度に解決できるイベントです。
同じ世代の終活仲間の参加もあるので、気軽に行ってみてはどうでしょうか。
旅行に出かけるのも終活のひとつ
終活をしていく中で、今まで行ったことがない場所や、もう一度行ってみたい場所へ旅行に行くことも良いでしょう。
整理整頓している中で思わぬ資産を見つけ、旅行に行ったという方も聞きます。
気分転換と思い出作り、後悔しない人生のためにもよいでしょう。
ものを持つよりも思い出作りをしてみませんか。
終活アドバイザーからサポートに乗ってもらうこともできます
健康長寿の日本では、終活カウンセラーや終活ライフケアプランナーといった資格を持った、終活のスペシャリストもいます。
自分でいろいろ調べるのが大変、時間がない、きちんとできているか不安といったかたは、プロの手を借りるのも良いでしょう。
あなたの目的に合ったアドバイスやサポートをしてくれるはずです。
【インタビュー】親の終活と家族が感じたこと
実際に最近親御さんを亡くしたAさんにインタビューを行いました。
親が終活をして身辺整理、エンディングノートとしての遺言を残していった親御さんを看取ったAさんのエピソードをご紹介します。
Aさんの親の意識がなくなり、延命治療をどうするか、という話を医師からされたところ、エンディングノートに延命治療はしないでほしいという希望があったため、家族が見守る中で亡くなりました。
その後、葬儀に関する取り決めは、会場の規模や、最後に呼んでほしい友人などをリストアップしていたため、スムーズに会場をセッティングすることができました。
Aさんにとっても、最後の時を悲観的な気持ちだけではなく、親の意思を最後まで尊重できたことに喜びを感じることができたと、お話を聞かせていただきました。
お葬式の間も、エンディングノートのメッセージなどを会話に、参列者たちと思い出話に花を咲かせ、悲しみ以上に得られたものが多かったようです。
その後も本人が希望した樹木葬で、家族みんなで、すてきな思い出にもなったようでした。
インタビューを通し、終活は自分の人生にも有意義となりますが、残された家族にとっては大きな意味を持つことになると、改めて確認することができました。
あなたも家族のために、自分のために終活を始めてみませんか。
まとめ
自分の人生を振り返り、悔いのないように過ごすのが「終活」です。
さらに、残された家族が故人の遺志を尊重し、もめたり争ったりしないための必要な準備でもあります。
残された家族は心理的負担とともに、物理的な負担も生じます。
自分の人生と、残された家族を守るためにも、ぜひ終活を始めていきましょう。
人生を振り返るなかで、学生時代の記憶やお仕事の思い出を回想することがきっとあると思います。
過去と現在を比べ、定年したあとはどうも生きがいを感じられなくなってしまった、と感じる方が増えています。
生きがいを感じている人の方が健康で長生きするという調査結果もあるなか、心身の健康を保つためには、生きがいを感じることがとても重要です。
以下の記事で、高齢者と生きがいの関係性について詳しく解説しております。
ぜひ、こちらも合わせて読んでみてください。