アテンダントに相談する

電話、もしくはメールでのご相談が可能です。
アテンダントが個々の条件に合ったアドバイスやご提案をいたします。

槌井 渉

槌井 渉
つちい わたる

介護施設の⼊居相談歴10年以上の経験があります。
最新のデータと約1,000施設に⾜を運んだからこそわかる現地の雰囲気や施設の評判も重視してご提案しています。
施設を探し⼊居することは、本⼈・家族の気持ちの問題、施設の空き状況と⼊居のタイミング、持病や認知症の症状、予算など様々なことが関連し決して簡単ではありません。
だからこそプロの私たちがご本⼈やご相談者に寄り添い、わかりやすく情報をご提供できたらと思っています。

野村 富⼠⼦
のむら ふじこ

有料⽼⼈ホームの介護現場でヘルパーとして勤務経験あり。
医療⾏為が必要な⽅をはじめ、認知症の⽅も沢⼭対応してきました。
現場で聞いてきたご本⼈やご家族からの要望や不安の声、そして感謝の⾔葉。今もこの声を思い出しながら、お客様に安⼼してお過ごしいただけるよう、その⽅に合った施設をご提案しています。

AIココちゃんに聞いてみる

「AIアシスタントココちゃんに聞いてみる」では、ココちゃんが⼊居者さまの⼈柄や性格を知るための10個程度の質問をします。その質問によってココちゃんが考えて、⼊居者さまに相性の良い施設を提案してくれます。

ココちゃんからの10個の質問

入居者さまのことをよく知るための、4択で答えられる10個の質問をします。

パーソナリティの分析

質問へのお答えから、⼊居者さまがどのような⼈なのかを、統計結果から構築したAIモデルで分析をします。

相性の良い施設を提案

分析の結果、⼊居者さまが住むことで幸せにつながるような、相性の良い施設を提案します。

施設⾒学のご予約はこちら

お電話でのご予約はこちら

株式会社ステッチ
Tel:050-3138-4262

(受付時間 10:00〜17:00)

※オペレーターが不在の場合は折り返しお電話を差し上げることをご了承ください。
また、050以外の電話番号から折り返しお電話を差し上げる場合がございます。

閉じる

  • TOP
  • ココマガジン
  • 80 歳を過ぎたらしてはいけない手術ってあるの?体力と認知度から手術の実施を検討しよう!

2021.06.23

80 歳を過ぎたらしてはいけない手術ってあるの?体力と認知度から手術の実施を検討しよう!

医師とベッドにかける高齢男性の写真

現在、日本では類を見ない速度で高齢化が進んでいます。当然、がんを含めたさまざまな病気にかかる高齢者も増えています。

病気の治療として手術を勧められることも多くなりましたが、高齢者の多くが「私は手術を受けても大丈夫だろうか?」という不安をお持ちです。

この記事では、高齢者の中でも特に80歳を過ぎた方に焦点を当てて、手術に伴う危険性(リスク)、手術や治療に対し他の高齢者はどのように考えているか、80歳を過ぎた高齢者が治療や手術をしない場合のことについて解説します。

そして、80歳を過ぎた高齢者が手術や治療を受ける場合の基本的な考え方についてお話ししています。

じっくりと読んでいただくことで、高齢者の手術や治療に伴う危険性についての理解が深まり、最良の選択ができるようになります。

手術や治療を受けるかどうかお悩みは、ぜひ最後までお読みください。

1.80歳を過ぎると手術にもリスクが伴う

手術や治療は、基本的には病気を治すために行われるものです。
がんの治療の場合、主な目標は、わかりやすくいうと「がんが治り余命が延びること*1」とされています。

その反面、手術というものは、多かれ少なかれ身体に負担をかけます。
高齢者は持病を持っている人の割合が多く、各臓器や器官の働きも落ちているため、合併症が起こった場合、命を落としたり影響が長引きやすいです。

ここでは、80歳を超える高齢者に手術を行った場合に起こり得る一般的な危険性(リスク)について解説いたします。

手術には体力が必要

手術には、ある程度の体力が必要です。

ところが、高齢者は加齢の影響により、筋力を含め身体の働きが低下しています。
また、基礎体力や身体の各器官・臓器の予備能力も低下しています。

手術中や手術後にはベッド上での安静が必要となることが多いため、もともと筋力の弱い方であればそのまま寝たきりになることがあります。
そのため若い方ならできる手術が高齢者には難しい場合があります。

高齢者でも体力や筋力には個人差があるので、詳しくは担当医に尋ねると良いでしょう。

合併症の危険性

どんな小さな手術でも、何らかの合併症が起こる可能性はゼロではありません。
特に高齢者はもともと心臓や肺、腎臓、脳に持病を抱えていることも多く、認知症が進んでいることもあります。

例えばがんの大きな手術の場合、手術中は人工呼吸器の助けを借りることがほとんどですが、呼吸を司る筋肉の働きが衰えている高齢者の場合は、手術が終わっても自分で呼吸ができずに人工呼吸器を外せなくなったり、痰がうまく出せなくなって肺炎を起こすことがあります。

また入院や手術などによる環境の変化に耐えられず、「せん妄(せんもう:時間や場所が突然わからなくなったり、注意力や思考力が低下したり、幻覚や妄想が現れること)」を起こすことがあります。

以下の表は、国立長寿医療センター外科がまとめた80歳以上の全身麻酔をかけた患者さんの術後合併症の事例です。

 合併症 症例数
せん妄 23例(10%)
呼吸不全 18例(8%)
縫合不全 9例(4%)
創感染 8例(4%)
肺炎 8例(4%)
高血圧 7例(3%)
無気肺 5例(2%)
不整脈、低血圧 4例(2%)
DIC、腸閉塞 3例(1%)
その他 3例(1%)

出典:健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/kango/shujutsurisuku.html


461例のうち216例(48%)に何らかの術後合併症を認めました*2。

このうち重症とされたのは63例(合併症全体の28%)であり、最も多かったのがせん妄(23例、10%)、ついで呼吸不全(18例、8%)、縫合不全(傷が治らない)(9例、4%)、創感染(傷にバイキンがつく)・肺炎(ともに8例、4%)でした。

手術後、一時的にでもADL(生活の質)の低下は24%に見られましたが、術後6ヶ月時点でもADLが低いのは6%にとどまりました。
高齢者でも術前・術後に適切な対処をとれば、日常生活も意外と問題がないことがわかります。

ちなみに手術死亡は1例(0.4%)のみであり、術後6ヶ月までの死亡例は13例(元々の病気での死亡3例、他の原因での死亡10例)と比較的少なく、高齢者だからと言って手術で亡くなる確率が極端に高いということはありませんでした。

80歳を過ぎた方ががんの手術を控えることがある場合

これらを踏まえると、80歳を過ぎた高齢者ががんの手術を控えることを考える場合の例としては、以下の場合があります。

控えることがある場合の症状・事例

  • 体力が落ちており、自力で歩くのが難しい場合
  • 認知症などで自分の置かれている状況が理解できない場合
  • 持病が多い場合、また心不全や肺炎を起こしてすぐなど、病状がコントロールされていない場合
  • もともとの持病などの影響で、手術をしても余命が変わらないと思われる場合

2.80歳を過ぎた高齢者は手術や治療を控えている

他の人と比べるわけではなくても、実際に同じくらいの年齢の方がどのような選択をしているのかについては気になるところだと思います。

ここでは、80歳を過ぎた高齢者が手術や治療についてどのような選択をしているかについて調べてみました。

がんの手術・治療をしない選択を取る高齢者の割合

がん患者の年齢別治療方法を示したグラフ引用:国立研究開発法人 国立がん研究センター がん対策情報センター がん登録センターがん診療連携拠点病院等 院内がん登録 2015年全国集計報告 背景:院内がん登録の位置づけ
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2017/0809/press_release_20170809_hosp_c_registry.pdf p26


国立研究開発法人国立がん研究センターが集計したデータによると、2012年から2015年にかけてがん診療連携拠点病院などにて院内がん登録された症例のうち、75歳以上の高齢者の割合が少しずつ増えています。

高齢になるとともにがんが進行した状態で見つかる割合も高くなっていますが、特に75歳以上の高齢者では若年代の患者と比較して、手術+抗がん剤の積極的な治療を行わない症例が増えています。

3.治療・手術をしない場合のがんの進行と余命

80代以上の高齢者にとって、手術や抗がん剤など積極的な治療をしない場合のがんの進行と余命がどうなるのかについてお話しします。

高齢者のがんの進行は遅いとは限らない

一般的に、高齢者のがん進行は一般的に遅いと考えられていますが、全てのがんの進行が遅いというわけではありません。

がんの進行の速さは、がんの種類や悪性度の高さによって決まります。
高齢者にも、進行が速く悪性度が高いがんができることはよくあります。

高齢者のがんの進行がゆっくりであるという誤解は、比較的高齢者に多いとされる前立腺がんの進行度が他のがんに比べると遅いこと、また一般的にはがんができてから診断可能なの大きさに育つまでは10年ほどかかるとされており、特に高齢者になってから初めて見つかるがんは比較的ゆっくり大きくなったと思われるものも多いことから来ているものと考えられます。

がんと余命の考え方

年齢別余命データ引用:国立がん研究センターがん情報サービス 年齢・全身状態別余命データ
https://ganjo  ho.jp/med_pro/med_info/guideline/life_expectancy.html"


がんになった時の余命を正確に測るのは難しいです。
同じ年齢で同じ病気にかかっていたとしても、体力があり全身人為状態が良い方と、持病や加齢などの影響で全身状態が悪い高齢者では、余命が異なることがわかっています。

したがって、高齢者であるという理由だけで手術や治療を控えるということは、元気な高齢者にとってはもっと元気に長生きする可能性を奪うことにもなりかねません。

高齢者のがん治療について考える時は、

POINT

  • がんを治療しないことで、がんが進行し、余命まで生きられない可能性はどの程度であるか?
  • がんを治療しないことで、余命を全うする前にがんによる症状や合併症が出現すると考えられるか?
  • がんの治療に耐えられるか?


という3つの点を評価する必要があります。

4.手術や治療の考え方

医学的には、その手術や治療によって得られる利益(がんを取ることや余命が延びることなど)と、その手術や治療によって起こり得る不利益(手術や治療に伴う合併症や体力・認知機能の低下など生活の質を落とす可能性)を天秤にかけ、利益の方が大きいと思われる場合に手術や治療をお勧めします。

特に80歳以上を超える高齢者については世界的にみてもデータが少なく、手術を含めた積極的な治療を行うかどうかは、その方の体力や認知機能、がん以外の持病の程度などによっても大きく変わります。


また治療に対する考え方も個人差が大きく、「数%でも長生きをする可能性があるなら危険性のある手術や治療を受けたい」という方もいれば、「もう歳だから痛い思いをしてまで手術や治療を受けたくないので、苦しい症状のみを取って欲しい」という方もおられます。


つまり、年齢で一概に決めるのはなく、病気の状態や手術をした場合の回復の見込み、身体の状態や認知機能などを細かく見極めることが大切です。
そして患者さん本人やご家族の意見や希望などをもとに、治療方針について担当医と相談するのが最も良い方法であるといえます。

5.まとめ

80歳を過ぎた高齢者の場合、手術や治療を受けるかどうかについては年齢で一概に決めることはできません。

お一人お一人の体力や元気度、認知機能、そしてご本人の希望を重視して決めるのが最も良い方法です。

手術や治療を受けるかどうかは今後の人生にとって非常に大きな選択となりますので、後悔のないように、ご家族のみなさんでじっくりと話し合ってみてください。

延命措置の是非や人生、暮らしの質について考えるときに役立つ概念のひとつに、QOL(クオリティオブライフ)が挙げられます。

QOLについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。