2021.09.08
退院日の決め方は?予定より早まった場合、延びた場合はどう対処する?
ケガや病気で入院した場合、どのくらいの日数で退院できるかはひとつの大きな関心事です。
入院が長引けばそのぶん費用もかかりますし、一方であまりに早い退院も、その後の準備が間に合わないということになりかねません。
特に高齢者の場合、自宅に戻るのか、施設を探すのか、あるいは他の病院に変わるのかという判断をしなければならないことは少なくありません。
ここでは、退院日の決まり方やその後の生活をどのように組み立てれば良いかについて紹介していきます。
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1.退院日の決め方
退院日は様々な要因で決まります。
以下では、退院日がどのように決められるのか解説します。
本人の状態や治療経過によって決められる
まず基本としては、ケガや病気の程度、手術が必要なのかどうかの治療内容、その後の経過によって医師が判断します。
医学の進歩で、日帰り手術あるいは数日間で終了する治療も多くなっています。
しかし既往歴や術後の経過によっては医師から受ける当初の説明と異なるということは珍しくありません。
退院日や入院期間の見通しは事前確認することが重要
とはいえ、全く予定が立たない、ということでは困ってしまいます。
初診や治療方針を決定しただけの段階では医師も明確に入院日数を決定することはできないというのが実情ですが、最短で何日ほどなのか、長引くとどのくらいになる可能性があるのかはある程度確認しておいた方が良いでしょう。
退院後に家族のケアや施設でのリハビリなどを必要とする可能性がある場合は、その準備をしなければならなくなるからです。
退院日について、特に希望がある場合は事前に医師や看護師に相談しておきましょう。
具体的な退院日時は担当医や看護師から通達される
退院日は、患者が勝手に決められるものではありません。
早く退院したい、あるいはしばらくは病院でケアしてほしい、など、家庭によって様々な事情はあるでしょう。
しかし治療上の理由や、病院にも病院の事情があります。
治療経過を見て、「もう少しかかる」「いつくらいには退院できそう」という判断はそのつど変わります。
場合によっては、前日や数日前と急なこともありますから、医師や看護師に定期的にたずねると良いでしょう。
予定日より先延ばしになった場合はすぐ質問・相談する
なお、入院が決定した段階で、入院計画などについて医師や看護師から説明される場合が多くあります。
予定より退院が早くなる分には、回復が早いという風にも捉えることができますが、予定より長引く場合は病状が悪化したのか、治療がうまくいっていないのか?という不安もあるでしょう。
退院予定日が長引いたら、理由を詳細にたずねましょう。
2.入院しても早期に退院・転院させられる理由
中には、当初の予定や、本人・家族の想定よりも早い時期に退院・転院させられるケースもあります。
もう少し治療に専念し、ある程度まで状態が回復した段階で退院させてほしいといった不満を持つことでしょう。
しかしながら、入院をしても早期に退院・転院させられてしまう背景には、医療的な理由があるのです。
以下、早期に退院・転院させられてしまう理由を解説します。
急患に備える必要があるため
病院には、常に満床状態にしておくわけにいかないという事情があります。
というのは、救急の患者さんが来たときに入院できない、という事態を防ぐためです。
いま、新型コロナウイルスの患者さんが多く入院しているために、その他のケガや病気での急患の受け付けができなくなっているという報道をよく目にします。
もちろん、これは好ましい状況ではありません。
よって、他の病院でも治療や経過観察が可能な患者さんの場合、空き病床の具合によっては早期に退院・転院という形を取ることがあります。
なお、新型コロナウイルスの本格的な影響を受ける前の令和元年度では、病床使用率はこのようになっています(図1)。図1 病床利用率
出所:「令和元年度 病院報告」厚生労働省) p20
入院の長期化を抑制する仕組みがあるため
また、国の政策として、入院期間を短縮する方向性があります。
技術の進歩もそうですが、国としては医療費を削減することなどが目的にあります。
実際、平均の入院期間は年々短くなっています(図2)。
図2 平均在院日数の推移
出所:「令和元年度 病院報告」厚生労働省
また、病院に支払われる診療報酬が、2週間を超えると大幅に下がるという事情もあるようです。
3.逆に退院日の延長を打診されるケース
このような事情の中でも、逆に退院日が延びる場合もあります。
入院中に他の病気が見つかったという以外の理由という時もあります。
退院日が延長する理由と病院側の事情について解説します。
病院はベッドコントロールを行っている
入院患者の極端に少ない状況が長く続くことも、経営を考えれば病院にとって良いことではありません。
病床稼働率をある程度に保つベッドコントロールを行っている病院もあるようです。
もちろん、長く診てもらえるのは悪いことではありませんが、長引く入院生活は精神的負担を伴います。
赤字経営の病院は全体の4割ほどに上っており、病院側もまた経営変革を迫られている時代でもあるのです(図3)。図3 赤字経営病院の割合
出所:「2019年度 病院経営定期調査報告」日本病院会など
病院を選ぶ際には、実績のある病院を選ぶようにしましょう。
実績の多さは、入院期間を最低限にとどめることができていることの証でもあるからです。
事例
例えば、治療後に病院で必要なリハビリの行程も全て終了しているにもかかわらず、「退院は自宅で安心して過ごせる心の準備ができてからで良い」といった当たり障りのない言葉で退院を遅らせる例もあります。
また、病院として実績が少ないために判断ができず、とにかく安全策を、という意味合いで最初から入院計画を長く設定するというところもあります。
4.退院日とセットで検討すべき退院後の療養プラン
退院日が決まる、あるいは退院日が決まってしまう前に、退院後の療養プランを計画しておくことは重要です。
退院後の準備として、どのようなことをすれば良いかご紹介します。
退院後のリハビリ計画の策定
退院にあたっては、医師などが「リハビリテーション計画書」を作成します。
退院する患者さんの心身の状態や生活環境によってできることとできないことが生じます。
そのような留意点やリハビリ終了の目安、時期などについて計画書は作成され、最終的には利用者本人の同意を得た上で交付されます。
定期的に見直されることもあります。
このとき、治療生活に疲れて強がってしまうことはよくありません。
健康を取り戻すに当たっての妨げになってしまいます。
ささいな不安でもしっかり伝えましょう。
リハビリ特化型介護施設とは?
また、退院したのは良いものの、やはり自宅での生活に不安が残る、あるいは家族が在宅で支えることは難しい、という人は少なくありません。
介護施設の利用も検討しましょう。
有料老人ホームの中には、理学療法士が在籍していたり本格的なマシンを取り入れたりするなど、リハビリに特化しているところもあります。
食事や入浴など基本的な介護に加えて、専門的なリハビリを受けたい方は、リハビリに特化した介護施設へ入居することも一つの手でしょう。
リハビリのみならず、食事が自由に選べたり、充実したレクリエーション施設を備えていたりするところもあります。
リハビリが完全でないまま自宅に戻ると、食事の準備や買い物などの外出がさらにおっくうになってしまっては困ります。
しかしリハビリ目的でその他は多様な楽しみが準備されているようなリハビリ特化型介護施設の場合、心身ともに元気でいられるというメリットがあります。
医療強化型介護施設とは?
また、後遺症や再発が心配という場合は、医療特化型の介護施設もあります。
24時間看護師が常駐していたり医師が定期的に巡回したりというシステムが整っている場合には、異変の発見や応急処置がしやすく、不安を抱えたまま無理に自宅で過ごすよりは本人や家族が安心できます。
医療機関と提携しているところが多くありますので、万が一のときにもスムーズに医療に繋がるというメリットもあります。
そのほか病院からの転院先にはどこがある?
自宅へ戻る前に療養できる施設や、1人暮らしが不安な方も利用できる場所は、実はたくさんあります。
以下の記事では、急性期病院からの転院先について解説しておりますので、合わせて参考にしてください。
➡急性期病院からの転院先にはどこがある?転院先を紹介!リハビリ情報も満載です。
5.まとめ
ここまで、退院日や退院後の対応についてご説明してきました。
高齢になってからの入退は、家族としてはその後の生活を真っ先に考えることでしょう。
しかし様々な形でリハビリを支える施設がありますので、積極的な活用を検討するのは良いことです。
家族の安心にも繋がります。
また、退院が急に決まって、できるだけ迅速に転院先を見つけなければいけない、といった緊急事態の場合もあると思います。
その場合にはゆっくりとインターネット検索している時間もないはず。
その場合にはアテンダントへ電話相談をしてみると、状況が一気に開けることも。
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